記事 3555番  最新の記事 <一つ前の記事 一つ後の記事> 2019/4/24 
読解力は、読む力と解く力でできている
森川林 2019/02/10 16:28 

 国語力の中心は、読解力です。
 将来は、作文力がもっと前面に出てきますが、今は作文力を評価する方法が限られていることから、読解力が国語力の中心となっています。

 その読解力は、読む力の縦軸と、解く力の横軸で構成されています。(図参照)



●小学1、2年生の読解力

 「1A」となっているところは、子供が小学1、2年生のころの読解力です。このころは、読む力と解く力が同じような場所にあります。
 それは、まだ読む力も解く力も初歩的な水準にあるからです。

 このころの読解力は、読解のテストなどをしても正しくは把握できません。
 小1、小2のころの読解力は、初めて見る文章をどれぐらいすらすら読めるかで把握できます。
 つっかえながら読む状態のうちは、読書を楽しむということはまだできません。本を読んでいるように見えても、ほとんど眺めているのに近い状態です。

 すらすら読めない子に読む力をつけるためには、第一に読み聞かせをして耳からの読書の時間を取ることです。
 そして、第二に短い時間でいいので毎日音読の練習をすることです。

 音読の練習を続けさせるコツは、どんな拙い読み方をしても、いつも褒め続けることだけです。

●小学3、4年生の読解力

 小学3、4年生になると、読む力も解く力も少しずつ進歩してきます。
 読むものが、絵本や短い物語から、次第に長い物語や説明文の本に移行する時期です。
 また、問題の解き方も、解くコツを知っているかどうかがわずかに影響しますが、それはまだ大きなものではありません。
 この時期に大事なことは、読書の質を上げていくことと、読書の量を確保することです。
 読書の質を無理に上げようとすると、読書の量が低下します。
 小学3、4年生の読書で中心になるのは、まだ読書の量の方ですから、たくさん読むことを基本にしつつ、説明文の本を楽しく読めるような力をつけていくのです。

 そのときに、説明文の本を読む助けになるのが、その子の興味や関心です。
 その子の興味や関心に合う本を、月に数回、図書館などで探すのがお母さんやお父さんの仕事になります。

●小学5、6年生の読解力

 小学5、6年生になると、国語の問題が受験にも対応したものになってきます。
 これが、「2B」の段階です。
 読む力は「1」から「2」へと進歩していきますが、それだけでは問題を解くことができない場面が出てきます。

 問題を解く力は、「A」から「B」に進みますが、これは本を読んでいて自然に進むわけではありません。解き方を身につけて、理詰めに解く力をつけなければ、「A」から「B」に進むことはできません。
 それは、小学5、6年生の受験期は、読解力の重点が、読む力よりも解く力に移る時期だからなのです。

 「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」が、読解の章で説明しているのが、この小学5、6年生が解く力をつけるための方法です。
 解く力をつけることで、急に成績が上がるようになります。
 逆に、この解く力をつけないと、国語の問題集だけをいくら解いても、成績はなかなか上がらなくなるのです。

●中学生の読解力

 中学生の読解力は、小学5、6年生の読解力の延長にあります。
 だから、勉強の基本は、理詰めに解く力をつけながら、その一方で読書の質を上げていくことにあります。

 中学生になると、読書ということは学校でも家庭でもあまり周囲からうるさく言われなくなります。
 学校の勉強が最優先で、読書はできたらすればいいというような感覚になりがちなのです。

 しかし、この時期に読書の質を上げていくことが、その後の読解力に影響してきます。
 読書の質を上げる方法のひとつが、問題集読書です。これは、問題集の問題文を読書がわりに読む勉強法です。

 読む力のある生徒は、問題集の問題文を内容を楽しみながら読むことができます。問題集には、良質な物語文と説明文が豊富に掲載されているからです。

 ただし、問題集の文章は、通常の読書と違ってあまりにも短いので、読むことに没頭することができません。
 だから、中学生の時期は、通常の読書で読む楽しさを味わいながら、その一方で問題集読書で読む質を高める手助けをしていくといいのです。

●高校生の読解力

 高校生の読解力では、読む力と解く力は更に分離してきます。読む力は「C」に進み、解く力も「3」に進みます。
 このころになると、解く力がいくらあっても、読む力がないと解けない問題が出てきます。
 大学入試センター試験などの読解問題では、読む力がないと、解く力だけでは満点を取ることはできなくなります。
 読みやすい文章や普通の文章では、解く力を使って正しい答えを選べる生徒が、難しい文章になると理詰めに読み取ることができなくなるのです。

 そのときに必要な読む力は、中学高校生時代の長い蓄積でできたものですから、短期間に読む力を上げることはできません。
 だから、解く力とともに、難しい文章を読む力を、問題集読書や自分なりの高度な読書生活によってつけていく必要があるのです。

●大学生の読解力

 大学入試センター試験で、ほぼ満点近い成績が取れるようになったから、読解力が完成したのかというとそうではありません。
 その先に、読む力を更に伸ばす「4」の段階があります。これが、難解な専門書や哲学書を読む段階です。

 この時期には、もう読解力を評価するテストのようなものはないので、解く力はあってもなくてもかまいません。だから、解く力は「A」でもいいのです。
 ただし、口頭試問などで話をすれば、どのくらい読む力があるかということはわかります。

 この難しい文章を読む力が「4」に伸びる時期は、高校3年生から、大学2、3年生にかけてです。
 高校生のころは受験勉強に追われ、大学生になるとやがてすぐにが就職活動に追われるようになるので、大学生の最初の1、2年間は読む力をつける貴重な時期です。

 しかし、日本の大学では、高度な専門書や哲学書を読破するという勉強をほとんどしません。

 もちろん、大学生時代は遊びも含めて多様な経験にチャレンジする時期ですから、読書だけが大切なのではありません。
 しかし、最も読む力が伸びる時期に、難しい本を読む機会がないというのは、その後の知的生活の土台が作れないということです。
 だから、多くの人が、高校3年生の学力がピークで、その後はなだらかに低下するようになっていくのです。

 大学での勉強を充実させることが、これからの教育改革の一つの要になってきます。

 そのためには、小学生のころから読書を中心とした読む力をつける勉強をし、受験期に入ったら集中的に解く力をつける勉強に切り換え、受験が終わったらまた高度な読書生活を再開するという形で読む力と解く力をバランスよくつけていくといいのです。


言葉の森の受講案内  無料体験学習受付中

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

森川林 20190210  
 解く力をつけると、国語の成績は急に上がります。
 しかし、解く力をつけただけでは解けない問題がやがて出てきます。
 それが読む力を必要とする時期です。
 読書は、国語の成績には関係しないとよく言われますが、高度な読解問題になると、読書力が大きく影響してくるのです。


nane 20190210  
 学校での勉強の間は、読書力は普通でも、解く力をつけていけば国語の成績は上がります。
 しかし、大学生や社会人になると、国語力の中心は解く力ではなく、読書力になります。
 だから、高校3年生の受験勉強が終わったら、まず高度な読書に力を入れていくことです。
 そのためにも、小学校時代から読書を楽しむ習慣をつけていくといいのです。


森川林 20190211  
 昔、保護者懇談会で、「塾の先生から、『読書をしても国語の成績は上がらない』と言われたのですが、どうしたらいいですか」という質問があありました。
 別に、国語の成績を上げるために読書をするのではないのですが(笑)、読書力と読解力の関係について、平面的に考えている人が多いようなので、読む力と解く力の関係についての記事を書きました。


同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
国語力読解力(155) 読書(95) メディア(8) 

記事 3554番  最新の記事 <一つ前の記事 一つ後の記事> 2019/4/24 
授業の動画2.3週をアップロード、発表室の画像アップロードもできます
森川林 2019/02/10 06:08 

 小1~小6の2.3週の授業の動画をアップロードしました。
 鳥の村の学年ごとの資料室でごらんください。
https://www.mori7.net/tori/index.php?k=10

 なお、鳥の村の発表室は画像アップロードにエラーが出ていましたが、現在はアップロードできるようになっています。

 ただし、今後動画などをアップロードされる場合は、googleフォトなどにアップロードしたものの共有リンクのURLを貼り付けていただくようになります。

言葉の森の受講案内  無料体験学習受付中

この記事に関するコメント
コメントフォームへ。

同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
生徒父母連絡(78) 
メルマガの配信
▼バックナンバー
○一般用 ダイジェスト版
○生徒用 完全版

Facebookページ
言葉の森作文ネットワーク
いいね! 17,226件
新着コメント1~3件
コメントは24時間以内に表示
4月の読書読解 nane
 今回は、朝2時ごろから起きる子がいて、 4/23
4月の読書読解 森川林
 今回も、上級生の男の子と女の子がとても 4/23
全教科の学力を nane
 アメリカで今広がっていて、将来性の期待 4/22
……次のコメント

オープン教育 1~3件
オープンの川
鳥の村 1~3件
鳥の村
虹の谷 1~3件
虹の谷
過去の記事

過去の31~60件目を表示
……先の30件
■プログラミング教育の未来と新しい作文教育 4月1日
■春の読書作文キャンプ無事終了 3月31日
■今日から春の読書作文キャンプ 3月30日
■4月からの寺子屋オンラインの勉強の進め方 3月29日
■【合格速報】宮城県古川高校 3月28日
■保江邦夫さんの聞いた未来の教育、アップルのデジタル教育、木内鶴彦さんの見た循環型社会 3月28日
■春の読書作文キャンプで行く瀬上の池 3月27日
■【合格速報】東北大学大学院理学研究科 3月26日
■【合格速報】京都大学文学部 3月26日
■小学1年生から始める新しい作文の勉強 3月26日
■お母さんとの対話が子供を賢くする――作文発表交流会の作文から 3月25日
■記憶の勉強と創造の勉強――創造は信頼できる他人との関わりの中で育つ 3月24日
■読解検定試験で国語力、読解力をつけ、学力をつける 3月23日
■勉強の追加をさせない――理想の子育て 3月22日
■「春の読書作文キャンプのしおり」3/30更新 3月21日
■新中学1年生におすすめの勉強法 3月21日
■言葉の森は、なぜまだプログラミング講座を始めないのか 3月20日
■県立甲府西高校 3月19日
■「小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本」のレビューありがとうございました――小冊子とシャーペンを昨日発送 3月19日
■文鳥のサクとブン――生き物との触れ合いのある子育て 3月18日
■3.4集の授業の動画をアップロードしました 3月17日
■小学1、2年生は勉強のスタイルを決めることが大事――高学年も中高生も基本は同じ 3月17日
■国語力のある子はどんな勉強をしているか――問題を解く勉強では国語力はつかない 3月16日
■3.3週の受業の動画(小1~小6)をアップロードしました 3月15日
■中学1・2・3年生の保護者懇談会――中学生の勉強の仕方 3月15日
■新小5・小6の保護者懇談会から――英語の暗唱について、意見文の書き方についてほか 3月14日
■【合格速報】横浜サイエンスフロンティア高校 3月13日
■いい本の選び方 3月13日
■小学校低学年のうちは、勉強させるというよりも、子供と知的で創造的な生活を楽しむ 3月12日
■準備を充実させ、交流を楽しむ作文の授業 3月11日
……前の30件
HPの記事検索
ホームページの全記事

 言葉の森新聞

Google+ページ
言葉の森作文オンエア

Twitter
言葉の森@kotomori

RSS
RSSリーダー

代表プロフィール
森川林(本名中根克明)

講師ブログ
言葉の森の講師のブログ

算数の通信教育
できた君の算数クラブ

カテゴリー
全カテゴリー
ICT教育(1)
遊び(6)
新しい産業(23)
暗唱(121)
生き方(41)
息抜き(19)
いじめ(1)
インターネット(25)
英語教育(10)
オープン教育(24)
親子作文コース(9)
オンエア講座(41)
音声入力(10)
音読(22)
オンライン作文(2)
外国人と日本語(4)
科学(5)
学問コース(1)
学力テスト(2)
合宿(14)
家庭学習(92)
家庭で教える作文(55)
漢字(17)
帰国子女(12)
教育技術(5)
教育論文化論(255)
教室の話題(26)
行事と文化(1)
ゲーム的教育(4)
合格情報(27)
高校入試作文小論文(10)
構成図(25)
公立中高一貫校(63)
国語問題(15)
国語力読解力(155)
子育て(117)
言の葉クラブ(2)
言葉の森サイト(41)
言葉の森の特徴(83)
言葉の森のビジョン(51)
子供たちの作文(59)
作文教育(134)
作文検定試験(4)
作文の書き方(108)
算数・数学(22)
自習検定試験(10)
自習表(5)
自然災害(1)
実行課題(9)
質問と意見(39)
受験作文小論文(89)
小学校低学年(79)
森林プロジェクト(50)
政治経済(63)
生徒父母向け記事(61)
生徒父母連絡(78)
全教科指導(2)
センター試験(7)
創造力(9)
大学入試(14)
対話(45)
他の教室との違い(22)
知のパラダイム(15)
中学生の勉强(21)
中高一貫校(11)
寺子屋オンライン(101)
読書(95)
読書感想文(19)
読書実験クラブ(9)
友達サイト(7)
日本(39)
日本語脳(15)
発達障害(1)
発表交流会(20)
東日本大震災(15)
facebook(29)
facebookの記事(165)
プログラミング教育(5)
勉強の仕方(119)
未来の教育(31)
MOOC(2)
無の文化(9)
メディア(8)
森の学校オンライン(2)
森リン(103)
問題集読書(33)
読み物(1)
四行詩(13)
未分類(378)

QRコード






 
小学生、中学生、高校生の作文(2007年4月まで)
小学1年生の作文(9) 小学2年生の作文(38) 小学3年生の作文(22) 小学4年生の作文(55)
小学5年生の作文(100) 小学6年生の作文(281) 中学1年生の作文(174) 中学2年生の作文(100)
中学3年生の作文(71) 高校1年生の作文(68) 高校2年生の作文(30) 高校3年生の作文(8)
手書きの作文と講評はここには掲載していません。続きは「作文の丘から」をごらんください。

Donate with IndieSquare