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特許制度は本来発明を保護する狙いを持っている。それにより発明者に与えられる独占権は、発明者だけでなく、その発明を利用する者や社会全体にも利益を与える。歴史上、我々からオリジナリティを奪った事例に、一七二一年に出された新規御法度がある。この頃イギリスは産業革命を迎えようとしていたが、日本は産業革命どころの話ではなく、むしろ鎖国のまっただ中で、新しいものを作ることは禁じられていた。このような抑圧が反発のバネになり、新しい時代を用意するための変革期を迎え、ペリーの来航によって急速に開国に向かった。しかし、日本には未だに変化よりも安定を志向する社会風土がある。享保の時代の観念が今も私たちの社会に残っているように思われる。 その原因は第一に、日本の横並び意識である。自分が先立って物事を行うのではなく、周囲の様子をうかがいながら合わせていく傾向にある。学校生活でもその傾向が見られる。たとえばクラスで何かを決めるとき、すぐには手を挙げず、周囲の様子をうかがってから手を挙げがちだ。私もそうだが、多数決を取るときも周囲の雰囲気を見ながら一番多いところで手を挙げてしまうことが多い。そのような横並び意識が大きな原因の一つだと思われる。 また、第二に考えられる原因は、日本の社会が一部の製造業を除き、まだ海外との直接の競争にさらされていないことである。これは日本にだけ言えることではない。オーストラリアも大陸から切り離されて独自の進化を遂げたために、今でも有袋類が支配している。外部と接触がないところでも進化はできないわけではないが、その進み具合は外部と接触があるところと比べるときわめて遅い。だから、あまり海外との競争がない日本では、昔の風潮が残っているのだと考えられる。 確かに、特許によって新たな参入者に対する障壁を作るという、社会進歩に反するような特許の利用の仕方もある。しかしこれからは、特許制度の行き過ぎにも注意しながら、新しい発明を社会にうまく生かす仕組みを作ることが大切だ。特許制度とは発明者が利益を増大させるためだけの制度ではなく、発明をより生かしていくためにすべての人に利益を与えるための制度である。
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時間:
4週の読解問題3
問1
問2
問3
問4
問5
問6
問7
問8
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週 範囲:
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4-6
7-9
1-9
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字数:
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表記:
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