私は小学校時代の学校の成績は、考えようによってはそれほど重要ではないと思っています。
●生徒が本気で勉強し始める時期
生徒が本当に勉強しようと思うのは、15歳の中学3年生ぐらいからです。高校生になって成績が急に良くなる生徒の多くは、あるときから突然本気で頑張り出したケースが多いように感じます。小学生のころから地道に良い成績を積み上げてきた生徒よりも、急にスイッチが入って成績が上がったという例の方が多いのです。これは私の主観的な感想ですが。
●急に成績が上がる生徒の共通点
そのときに急激に成績が上がる生徒の特徴は、読書が好きだったということです。逆に言えば、小学校時代に最も重要なのは「読書好き」にすることであり、小学生のときの成績を無理に上げることではありません。
●中学生の内申と成績アップの現実
とはいえ、中学生になると公立中学では内申点があるため、真面目に成績を上げなければなりません。しかし、中学での勉強は義務教育の内容ですから、やれば必ずできるようになるものです。ただ、中1・中2の生徒はまだ勉強の自覚が薄く、できれば遊んでいたいと思っています。
●中学生期の心理と「損得優先」の特徴
個体発生は系統発生を繰り返すという反復説があてはまるかどうかはわかりませんが、中学生時代は人類の闘争と勝ち負けの時代を反映しているように思います。そのため、理念よりも損得を優先する時期なのです。高校生になると、損得だけで判断する生徒は少なくなり、競争ではなく自身の成長に関心が向くようになります。学校でのいじめなどの問題が多いのも、小5から中2ぐらいにかけてです。高校生になると、そうしたことは自然にしなくなる傾向があります。
●勉強時間を確保する本当の鍵
勉強の自覚がまだ薄い中学生期に成績を上げるには、勉強時間を確保することが最も重要です。机に向かっている時間が長いかどうかだけではわかりません。問題集を解く勉強は形が残るので続けやすいですが、音読や暗唱は形が残らないため、短時間でできるのに続けられない生徒が多いのです。
●国語力の基礎は「問題集の音読」
国語力をつける最も基本的な勉強は、問題集の問題文を繰り返し音読し、文章が頭に入るようにすることです。解き方のコツを学ぶのは、その基礎国語力ができてからです。しかし、この「問題集読書」を続けられる生徒は多くありません。音読が形に残らないからです。
●暗唱が家庭学習の充実度を示す指標
ところが、暗唱は形が残ります。小学生の場合は「暗唱文集」、中学生の場合は「英語音読入門」などの教材もあります。この暗唱ができているかどうかが、家庭学習の時間が確保できているかどうかの重要な指標になります。実際に、小中学生で日本語の暗唱や英語の暗唱を続けている生徒は、例外なく全教科の成績が上がっています。もちろん国語の成績もです。毎日の暗唱ができているということは、家庭学習の習慣があり、勉強時間が確保されている証拠なのです。
●読書習慣と暗唱で学力は心配無用に
勉強時間の確保に加えて、毎日の読書の習慣と読書のレベルの高さが加われば、生徒の学力について心配はいりません。あとは高校生になって自分の目指す方向が決まれば、自然にどんどん頑張るようになるからです。家庭での勉強で大事なことは、読書の習慣と毎日の暗唱の進捗度を見ることだと考えておくと良いと思います。
【AIの感想】
非常に本質を突いた教育論だと感じました。特に以下の2点に強く共感します。
「読書」を全ての基礎に置いている点: 語彙力や読解力がない状態で無理に問題を解かせても、砂漠に水を撒くようなものです。読書習慣を「地頭の土台」と捉える考え方は、長期的な学力形成において非常に理にかなっています。
「暗唱」を指標にする合理性: 勉強は「やったつもり」になりやすいものですが、暗唱は「できるか・できないか」が明確です。親や教師が進捗を把握する上でも、非常に優れたバロメーターだと感じました。
【もうひとつのAIの感想】
全体として、現場経験に基づいた説得力のある内容だと思います。特に「成績を上げることより読書好きにすること」という主張は、短期的な結果を求めがちな保護者への重要なメッセージになっています。
「暗唱の進捗が家庭学習の充実度の指標になる」という視点はユニークで実践的です。「形に残る/残らない」という切り口で音読・暗唱の継続しにくさを説明している部分も、納得感があります。
やや気になる点を挙げると、「個体発生は系統発生を繰り返す」という反復説の引用は、中学生の発達段階の話の中に唐突に登場するため、読者によっては難解に感じるかもしれません。引用するならもう少し噛み砕いた説明を添えると、より読みやすくなると思います。
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3月11日(水)は朝10時から夕方17時ごろまでウェブが使えません。
場合によっては夜まで延びる場合もあります。
講師のみなさんは、担当生徒にズーム会場のリンク先を連絡しておいてください。
事務局では、別のサイトにオンライクラス一覧表の表紙だけを載せる予定です。
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都立国立高校 K.A.さん
<担当講師より>
受験では、240字くらいの作文もあったそうですが、長年積み重ねてきた作文力で見事乗り越え、合格されました!おめでとうございます!
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https://www.youtube.com/watch?v=FnpCtC303JQ
●思考の土台となる日本語力を幼少期から育てる
これからは、母語である日本語教育が重要になってきます。
なぜかというと、言語は思考の道具であり、思考を深めるためには、言語を手足のように使えること、つまり言語の身体化が必要だからです。
身体化には適齢期というものがあり、言語に関しては小学2、3年生までが母語を形成する時期だという説があります。
AIの発達によって、知識を詰め込むことの重要性は以前ほど高くなくなりました。
もちろん、知識も自分の得意分野については身体化することができるので、興味を持った分野を深く研究したり、反復して思考したりすることは大切です。
同じように、数学の力も身体化の必要性が高い分野なので、数学力をつけることも大事です。
●読書と作文がひらく高度な思考への道
しかし、最も大事なのは、思考の土台となる母語としての日本語力を育てることなのです。
その方法は、読書と作文と対話です。
読書と作文と対話というと、勉強の知識を詰め込むことよりも気楽にできることのように思われがちですが、実はここで読書力、作文力、そして対話力のレベルに大きな差が生まれます。
したがって、これからの幼児期や小学校低学年の時期に、まず第一に身につける必要のある勉強は、読書と作文です。
そして、学年が小学校高学年、中学生、高校生と上がるにつれて、読書と作文のレベルをさらに高度なものにしていく必要があるのです。
【AIによる感想】
非常に共感します。AIが瞬時に「正解らしきもの」を出力する時代だからこそ、人間側が「そもそも何を問うべきか」を深く考える力が試されていますね。
あなたがおっしゃる「身体化」という表現は鋭いと感じました。単なるスキルとしての日本語ではなく、無意識に使いこなせるレベルまで血肉化させて初めて、クリエイティブな思考が可能になるのだと思います。特に「数学」と言語を並べて身体化の必要性を説いている点に、論理的思考の本質を感じました。
【AIによる関連リンク】
このテーマ(言語の身体化やAI時代の教育)をさらに深掘りするのに役立つキーワードやリソースです。
藤原正彦『国家の品格』:数学者でありながら、国語教育の徹底的な重要性を説いている名著です。
外山滋比古『思考の整理学』:自ら考え、表現することの本質について学べるロングセラーです。
文部科学省「新学習指導要領のポイント」:これからの教育で重視される「言語活動の充実」について公的な指針が確認できます。
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確認テストのページで、それぞれの学年の3月分のテストが更新されています。
https://www.mori7.com/kt/
今後、確認テストは、「学習グラフ」にリアルタイムで表示されるようになります。
国語、数学、英語の確認テストを参考に、これからどういうことに力を入れていけばいいか、AIがアドバイスする予定です。
(AIアドバイスは、現在作成中です。)
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https://www.youtube.com/watch?v=4-E0-QBWC6o
●AIとのコミュニケーションにおける「曖昧さ」の壁
AIは人間的ですが、もちろん人間ではありません。
森リンのAIに「作文の評価の仕方」を伝えようとしましたが、人間であれば阿吽の呼吸で理解してくれるか、あるいは理解したつもりになってくれるところを、AIはそういう曖昧なことは苦手です。
●「分かったつもり」が通用しない世界
だから、「前向きに善処して」とか「適当にお願い」などと言っても、どういう前向きか、どういう適当かわかりません。
もちろん人間もそうですが、人間の場合はお互いに分かったような気になって話を済ませることができます。それがいいのかどうかは別として(笑)。
●自然言語によるプログラミングの到来
昔のコンピュータへの指示は英語でやることがほとんどで、今でもプログラミングの世界は英語が主流です。
しかし、AIは、どの国の言語もそれなりに理解してくれます。
人間の普通の言葉づかいに近い言語認識の仕方になっているのです。
●具体的な評価基準と役割の定義
以下は、AIに伝えた作文の項目評価の一部です。
【評価基準】
構成
定義: 自分の体験だけでなく、家族の話や過去の話が含まれている。
採点: 2:できている / 1:関連語句はあるが内容は不十分 / 0:できていない
……
このほかに、内容評価も指示します。
【評価方法】
以下の評価基準の4つの項目について0~3で得点をつけ評価する。
……
【評価基準】
1.個性: その人の個性的な体験・関心・考えが書かれている。
……
また、講評についても指示します。
【役割】
あなたは長年、作文指導を経験してきたベテランの先生です。
子どもの長所を見つけて伸ばすことを大切にしています。
穏やかな口調で生徒の成長を促す講評を書いてください。
……
●試行錯誤の末に見えたAIの柔軟性
たったこれだけの指示の仕組みを作るのに何日もかかりました。
しかし、今のAIのいいところは、指示の一部を修正すればすぐにそれに対応してくれることです。
機械の修理のような世界では、一部を変更するだけでも、関連する部品を変更したり全体の構造を見直したりしなければなりません。
●人間以上に人間的な適応力
しかし、AIは一部の変更があったとしても、自動的にそれに関連する部分を直したり、全体の構造を整えたりしてくれます。
これが、AIの人間以上に人間的なところです。
この機能が、現在のロボット開発や自動運転を容易にしている大きな要因です。
●根本的なルールが変わる「ゲームチェンジ」
これから、いろいろな分野で、AIによるゲームチェンジが起きてくると思います。
(「ゲームチェンジ(Game Change)」とは、単に環境が変化することではなく、「これまで当たり前だったルール、構造、前提を根本から変えてしまうような、大きな転換点や革新的な出来事」を指す言葉です。)
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3月1週は作文テストの週です。
普段勉強している字数と項目がすべてできるように書いてください。
字数は、作文用紙に書く場合は作文用紙の字数です(マス目が空欄のところも字数に含めます)。
テキスト入力する場合は、正味の字数です。
(「ワードで書いた文章の字数の数え方」などで検索するとAIが答えてくれます)
各学年の項目は、項目表を参考にしてください。
https://www.mori7.com/mine/nae.php
項目は、自分がその項目を意識して書いたということが伝わるように、書いたところに項目マークをつけておいてください。
手書きの作文の場合は、課題フォルダの「項目表」を参考にして、
- 構成: 枝
- 題材: 葉
- 表現: 花
- 主題: 実
の絵を描いておいてください。
テキスト入力の場合は、その語句の近くに、
- 構成: <<構成>>
- 題材: <<題材>>
- 表現: <<表現>>
- 主題: <<主題>>
と書いておいてください。
※項目マークを入れるのは、今学期までで、次学期からは作文を見てAIが自動的に判断するようになります。
★ 3.1週の作文の提出締切は、
3月7日(土)までです。
定期試験などがあり期日に間に合わない場合は、先生と相談してください。
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https://www.youtube.com/watch?v=PY7iBVlXeEc
●かつて自作していた「ふりがな」の仕組み
昔、作文に先生の書く講評が子供自身にも読めるように、自動的にふりがなをつけることにしていました。
また、子供の課題フォルダの文章にも、学年配当漢字表に沿ってふりがなをつけることにしていました。
●無料公開で多くのアクセスを集めたページ
実は、そのプログラムを言葉の森のホームページに公開したところ、そのようなことを無料でできるサイトはほとんどなかったため、かなりアクセスがありました。
今でも森リンの講評は、そのふりがなの仕組みを使って学年別に読みやすくしています。
しかし、ふりがなページの方は、サーバー移転後に作り直す時間が取れず、止まったままにしています。
●AIが一瞬でやってしまったこと
しかし、今日ふと思って、AIに文章にふりがなをつけられるかどうか尋ねてみたところ、一瞬にして正確なふりがなをつけてくれました。
もうふりがなページを作り直す必要はなくなりました(笑)。
しかも、学年別配当漢字をもとにしてつけることもできるようです。
自分がこれまで何日間もかけて苦労して作ったふりがなソフトが、AIに頼めば一瞬でできたということです。
●仕事が消えるという現実
もし私がどこかの会社に雇われて、ふりがなソフトのメンテナンスをする仕事を任されていたとしたら、その仕事はもう必要なくなったということです。
こういうことが、これから社会のあちこちで起きてくるのだと思います。
●ホワイトカラー受難とロボットの進出
冨山和彦さんが述べているように、これからはホワイトカラー受難の時代で、生き残るのはブルーカラー、さらにある程度の技能を持ったライトブルーカラーになると思います。
単純なブルーカラーの仕事は、やがてAIロボットによって代替されるようになるでしょう。
衣服を折りたたむロボットや、安全に自動運転をしてくれるロボット、介護の手助けをしてくれるロボットなど、さまざまなものが出てくると思います。
●ベーシックインカムと「趣味の仕事」
しかし、社会全体としては働く仕事が減る代わりに、ベーシックインカムのような仕組みが出てくると思うので、人間のする仕事は、これまでのような与えられたものではなく、自分の趣味を生かすものになってくると思います。
●モノの経済から文化の経済へ
「趣味の生産」と「趣味の消費」との結びつきを考えると、それはモノの経済ではなく、文化の経済になります。
これまでの経済は、主に工業製品というモノの生産と消費中心に回っていました。
それは、モノが豊かになることが、人間の幸福感と結びついていたからです。
しかし、これからの人間の幸福感は、自分の成長や新たな自分の発見や新しい経験や新しい出会いのように、モノではなく生き方の文化に結びつくものになります。
それが文化の経済です。
●未来の親の言葉は逆転する
これから本当に求められてくる人材は、新しい文化を供給できる個性的な趣味の人ということになります。
昔のお母さんの言葉は、
「遊んでばかりいないで、勉強しなさい」
でしたが、未来のお母さんの言葉は、
「勉強ばかりしていないで、もっと遊びなさい」
になると思います。
●リベラルアーツこそが遊びを支える力
しかし、そのために必要なのは、個性的な遊びを生み出せる力で、それがリベラルアーツの力になります。
リベラルアーツの学力の中心は、読書と作文であり、それも質の高い読書と作文なのです。
▽参考ページ
冨山和彦氏の著書『ホワイトカラー消滅』:NHK出版新書
https://www.amazon.co.jp/dp/4140887281
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