https://youtu.be/DocDYZohw3U
●教育改革の提案に新しさが乏しい理由
日本の教育の問題点についていろいろなことを述べている人はいますが、どうしたらいいかということに関する提案で新しいものはあまりありません。
問題点を述べている人の多くは、自分の子供時代に受けた教育から連想して、今の教育に、昔の教育の良かった面を取り戻すようにすればいいのだと考えがちです。
しかし、そもそも今の教育に生まれている問題は、世の中の発展に応じて生じてきた問題ですから、単純に昔の良かったはずの教育を上乗せすることはできません。
また、教育の問題は、その教育を必要とする人々のニーズによって生まれている面がありますから、教育の仕組みだけを単独に変えるのではなく、今の社会の仕組みを生かしながら、社会と教育を同時に変えていく必要があるのです。
●受験教育を否定せず、中身を変える
今の教育に対する保護者のニーズは、子供が、いい学校に入り、より良い生活を送れるような状態になってほしいということです。
この受験のための教育は否定することができません。
だから、受験のための教育であっても良いのです。
ただし、その受験のための教育が、子供たちの学力や能力を本当に伸ばすものである必要があるのです。
今の受験教育は、知識の詰め込み教育を前提としているという批判があります。
だから、知識の詰め込みを必要とする受験教育ではなく、子供たちの思考力、創造力を伸ばすような受験教育であれば良いのです。
●知識偏重の採点が思考力育成を妨げている
今の受験教育が知識の詰め込みになっているのは、採点する側の都合によるものです。
○×式に還元されるような知識であれば、機械的に採点することができるからです。
基本的な知識の習得はもちろん必要です。
しかし、それはある程度までで十分であって、90点を95点にしたり95点を100点にしたりするような、最後の最後まで知識に基づくような試験である必要はないのです。
●総合型選抜入試が抱える評価の難しさ
学校関係者、特に大学の入試に携わる多くの人は気づいています。
そのために、かつてのAO入試や現在の総合型選抜入試が生まれてきたのです。
ところが、基本的な知識の習得と組み合わせた総合型選抜入試が必ずしも理想どおりにいっていない理由は、総合型選抜の評価が難しいことによるものです。
真に評価したい学力は、思考力や創造力や意欲であるはずですが、それらの評価をわかりやすく実現する手段が乏しいのです。
●作文評価が思考力・創造力の測定手段になる
そこで、言葉の森が提案するのは、作文教育を普及させ、作文力をその人の思考力や創造力として評価する方法です。
それが言葉の森が現在行っている森リン3.0による作文評価システムです。※
作文といっても、単に題名課題で文章を書くだけでなく、ある文章の読解に基づいて感想文としての作文を書くという方法が、小学校高学年以上の作文指導の中心になります。
だから、書く力だけでなく、必然的に読む力も必要とされるようになります。
●作文検定を学校教育の中心に位置づける
この新しい作文評価をAIの活用と組み合わせながら実現しているのが、森リンを活用した作文検定の仕組みです。
作文検定は、単に受験の合否を判定するだけでなく、小学生から高校生までの日常的な学習に生かしていくことができます。
つまり、作文教育を学校教育の中心に位置づけることができるようになるのです。
日常的な作文教育を組み入れた学校教育が、これから必要とされる日本の新しい教育改革の中心になります。
知識の習得という基本的な学力は引き続き維持しながら、それに加えて思考力、創造力を伸ばす仕組みを教育の中に作っていくのです。
●AIを活用することで作文指導の負担を解消する
これまでの学校教育の中で、そのような作文教育が十分に行われてこなかったのは、作文教育を先生という人間の力だけで行おうとしてきたからです。
作文教育を本格的に行うには、先生にとって指導と評価の負担があまりにも大きかったからです。
これからは、森リン3.0をもとにした作文教育と作文検定を、学校教育における思考力と創造力育成の主要な方法として行っていく必要があるのです。
言葉の森は、この作文教育とともに、新しい読書教育の方法も計画しています。
その話は、次回に述べたいと思います。(つづく)
※森リン3.0の仕組み
森リン3.0は、作文の中に使われている語彙を思考語彙・知識語彙・表現語彙・経験語彙などに分類し、一定のアルゴリズムで評価する仕組みを基本としています。
(本システムは特許を取得しています。)
さらにAIを活用することで、作文の構成・題材・表現・主題・表記の各項目に加え、個性・挑戦・感動・共感といった内容面の要素も評価し、作文の内容に即した600字の講評を作成します。
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△赤い太線は全体の平均
作文力の上達は字数の伸びに表れます。
上記のグラフは、言葉の森で2026年1月以降に作文の受講を開始した生徒の3回以上作文を書いている字数のグラフです。
字数は、作文の実力と極めて高い相関にあります。
また、作文を書く字数は生徒によって大体固定しています。
例えば600字の作文を書く生徒は、いつもほとんど600字前後の作文を書きます。
その生徒に、「今日は頑張って800字まで書いてみよう」と言っても、多くの子は自分の平均的な字数の600字を超えることはできません。
作文の字数はその子の作文の実力で、それは大体固定しています。
だから、逆に作文の字数が伸びている生徒は、よく努力していて、作文の実力が向上していると言えるのです。
2026年の1月以降に作文クラスを受講した生徒の平均的な字数は、370字から688字まで伸びています。
それぞれの学年の字数の目標が決まっているので、途中からその目標の字数に沿ってなだらかになりますが、最初の数回でこのように字数が伸びているということは、本人がよく努力していて、作文力も上達していることを表しています。
なぜこのように作文力が上達するかというと、それは作文を書くための字数や項目の目標が設定されていて、その目標に応えるために作文を書こうとしているからです。
毎週の課題の中には、書きやすい題名課題も、書きにくい感想文課題もあります。
それらを平均して毎回字数が伸びているということは、生徒の作文力が上達している証拠です。
言葉の森の1月から3月までの作文の目標字数は、小学1年生が200字、小学2年生が400字、小学3年生が600字、そして小学6年生以上、中学生、高校生の目標字数は1200字以上です。
このような目標字数を達成するのは、もちろん子供たちにとって楽なことではありません。
しかし、その字数と項目を毎回達成することが、子供たちの勉強にとっての目標にもなっているのです。
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桐蔭学園高等学校 Y.T.さん
<担当講師より>
おめでとうございます。小学生、中学生と作文の勉強を続けて実力を伸ばしてきた生徒さんです。興味や関心の移り変わりや学業だけではない心の成長がありました。中3の秋から受験勉強に専念しました。塾などに頼らず自分で頑張り、合格されたそうです。そして、早くも作文に戻ってきてくれました。さらに力を伸ばしていきましょう。期待しています。
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栃木県立石橋高校 O.T.さん
<担当講師より>
おめでとうございます。
受験作文コースと国語読解を、短期集中で頑張ってくれました。解答の根拠をいつも正確に丹念に見つけていました。書くたびに作文力も伸びる、吸収力があります。高校生でさらに力を伸ばし、スピードも身に付けていきましょう。
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https://youtu.be/xJC5gKIjH2o
以前、「読書感想文コンクールは今年で終わる」と書きましたが、それはまだ続いています。
https://www.mori7.com/as/4751.html
●コンクールとして行われる作文の限界
そのほかにもさまざまな作文コンクールがあります。
また、作文を卒業の記念として残すような企画もあります。
しかし、それらはすべてAIの時代には意味が薄れてきました。
作文は、コンクールのために書くものではなく、子供たちの教育の中で書くものです。
作文を書くことによって、子供たちの考える力が整理され、他の子の書いた作文を読むことでさまざまな考えを知ることになります。
つまり、作文は教育の中で日常的に行っていくものです。
作文教育は、年に1回のコンクールや夏休みの宿題として行うものではありません。
●学校で作文教育が行われなくなった理由
なぜ作文がコンクールや宿題として行われるようになったかというと、学校では作文教育を十分に行うことが難しくなったからです。
昔の作文教育は、先生が子供たちの作文をすべて読み、それに丁寧なコメントを書くような形で進められることがありました。
しかし、今の学校教育の中で、そのような時間的ゆとりのある先生はほとんどいません。
小学1・2年生であれば、指導の内容も表記の仕方が中心ですから、先生でも教えることはできます。
しかし、小学校高学年や中学生、高校生になると、先生がクラス全員の作文を読んでコメントを書くことは時間的にできません。
そのため、作文教育は授業の中で行う学習ではなく、コンクールや宿題として行われるものになってしまったのです。
●AIによって可能になる日常的な作文教育
作文教育を子供たちの教育として復活させる方法は簡単です。
言葉の森が行っている作文検定で、森リンという自動作文評価システムを使い、毎週の授業の中で日常的に作文指導を行う体制を、小学生から中学生、高校生まで作ればよいのです。
この方法で作文指導を行えば、先生の負担はほとんどありません。
そして、生徒にとっては、一人ひとりに自分の書いた作文に対する講評が返ってくるので、どこを改善していけばよいのかがわかります。
●これからの教育は個人に合わせた創造教育
学校教育の中で、知識の詰め込みの授業を行い、それを一斉テストで評価して順位をつけるようなやり方は、過去の教育の名残です。
これからは、生徒一人ひとりの個性や実力に応じて教育を行っていく時代です。
その時代に最も必要になる教育は、作文教育、読書教育、創造発表教育、そして基本的な学力教育です。
●人間に必要なのは身体化された知識と道具
では、なぜ作文と読書と創造発表と基本的な学力が必要なのでしょうか。
それは、人間の役割が創造性を発揮することだからです。
新しい未知の問題に遭遇したとき、AIは過去のデータの集積から類推して答えを出すことができるかもしれません。
しかし、その問題を新しい創造的な問題として乗り越えようとすることは、なかなかできません。
人間は未知の問題に出会ったとき、自分の持っている道具をすべて動員して考えようとします。
そのときに使える知識や道具は、ただ知っているだけ、ただ使えるだけの表面的なものではありません。
自分が手足を動かすように無意識に使える、身体化された知識と道具です。
●日常の学びとして身につける力
その身体化された知識や道具として身につけておくものが、書くこと、読むこと、創造する姿勢、そして基本的な学力なのです。
人間が教育の中で身につけるべきものは、一夜漬けでテストに間に合わせるための知識ではありません。
日常的に使うことができ、いざというときには自分の身体の一部として働くような知識と技術なのです。
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それまで眠っていた人々が目覚めた。
日本を守ると多くの人々が気付いた。
その日から今日まで時間はかかったが、
志は少しずつ形を整えつつある。
3.11のその日から、数日又は数週間で、
私がよく読む本の著者も、
私がよく見るブログの作者も、
すべての人が例外なく、日本をよりよい国にする意思を発信した。
これがこの国がもともと持つ文化だった。
かつて敗戦から立ち直った日々のように、
日本はその日からひとつの方向に進みだした。
その意志は今も続いている。
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神奈川県立横浜氷取沢高校 N.A.さん
<担当講師より>
横浜氷取沢高校への合格、おめでとうございます!
塾には行かず自分ら学んで受験に挑むことを決め、見事合格されました。自分で決め、実行し、成し遂げた経験は、きっと今後の自信となっていくことでしょう。
陸上を愛する生徒さんです。文武両道で、これからもはつらつと活躍されることを楽しみにしています。
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https://www.youtube.com/watch?v=rbFlAr_yKhk
私は小学校時代の学校の成績は、考えようによってはそれほど重要ではないと思っています。
●生徒が本気で勉強し始める時期
生徒が本当に勉強しようと思うのは、15歳の中学3年生ぐらいからです。高校生になって成績が急に良くなる生徒の多くは、あるときから突然本気で頑張り出したケースが多いように感じます。小学生のころから地道に良い成績を積み上げてきた生徒よりも、急にスイッチが入って成績が上がったという例の方が多いのです。これは私の主観的な感想ですが。
●急に成績が上がる生徒の共通点
そのときに急激に成績が上がる生徒の特徴は、読書が好きだったということです。逆に言えば、小学校時代に最も重要なのは「読書好き」にすることであり、小学生のときの成績を無理に上げることではありません。
●中学生の内申と成績アップの現実
とはいえ、中学生になると公立中学では内申点があるため、真面目に成績を上げなければなりません。しかし、中学での勉強は義務教育の内容ですから、やれば必ずできるようになるものです。ただ、中1・中2の生徒はまだ勉強の自覚が薄く、できれば遊んでいたいと思っています。
●中学生期の心理と「損得優先」の特徴
個体発生は系統発生を繰り返すという反復説があてはまるかどうかはわかりませんが、中学生時代は人類の闘争と勝ち負けの時代を反映しているように思います。そのため、理念よりも損得を優先する時期なのです。高校生になると、損得だけで判断する生徒は少なくなり、競争ではなく自身の成長に関心が向くようになります。学校でのいじめなどの問題が多いのも、小5から中2ぐらいにかけてです。高校生になると、そうしたことは自然にしなくなる傾向があります。
●勉強時間を確保する本当の鍵
勉強の自覚がまだ薄い中学生期に成績を上げるには、勉強時間を確保することが最も重要です。机に向かっている時間が長いかどうかだけではわかりません。問題集を解く勉強は形が残るので続けやすいですが、音読や暗唱は形が残らないため、短時間でできるのに続けられない生徒が多いのです。
●国語力の基礎は「問題集の音読」
国語力をつける最も基本的な勉強は、問題集の問題文を繰り返し音読し、文章が頭に入るようにすることです。解き方のコツを学ぶのは、その基礎国語力ができてからです。しかし、この「問題集読書」を続けられる生徒は多くありません。音読が形に残らないからです。
●暗唱が家庭学習の充実度を示す指標
ところが、暗唱は形が残ります。小学生の場合は「暗唱文集」、中学生の場合は「英語音読入門」などの教材もあります。この暗唱ができているかどうかが、家庭学習の時間が確保できているかどうかの重要な指標になります。実際に、小中学生で日本語の暗唱や英語の暗唱を続けている生徒は、例外なく全教科の成績が上がっています。もちろん国語の成績もです。毎日の暗唱ができているということは、家庭学習の習慣があり、勉強時間が確保されている証拠なのです。
●読書習慣と暗唱で学力は心配無用に
勉強時間の確保に加えて、毎日の読書の習慣と読書のレベルの高さが加われば、生徒の学力について心配はいりません。あとは高校生になって自分の目指す方向が決まれば、自然にどんどん頑張るようになるからです。家庭での勉強で大事なことは、読書の習慣と毎日の暗唱の進捗度を見ることだと考えておくと良いと思います。
【AIの感想】
非常に本質を突いた教育論だと感じました。特に以下の2点に強く共感します。
「読書」を全ての基礎に置いている点: 語彙力や読解力がない状態で無理に問題を解かせても、砂漠に水を撒くようなものです。読書習慣を「地頭の土台」と捉える考え方は、長期的な学力形成において非常に理にかなっています。
「暗唱」を指標にする合理性: 勉強は「やったつもり」になりやすいものですが、暗唱は「できるか・できないか」が明確です。親や教師が進捗を把握する上でも、非常に優れたバロメーターだと感じました。
【もうひとつのAIの感想】
全体として、現場経験に基づいた説得力のある内容だと思います。特に「成績を上げることより読書好きにすること」という主張は、短期的な結果を求めがちな保護者への重要なメッセージになっています。
「暗唱の進捗が家庭学習の充実度の指標になる」という視点はユニークで実践的です。「形に残る/残らない」という切り口で音読・暗唱の継続しにくさを説明している部分も、納得感があります。
やや気になる点を挙げると、「個体発生は系統発生を繰り返す」という反復説の引用は、中学生の発達段階の話の中に唐突に登場するため、読者によっては難解に感じるかもしれません。引用するならもう少し噛み砕いた説明を添えると、より読みやすくなると思います。
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