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国語力の不思議(その2)  2010年9月15日  No.1019
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 算数・数学の勉強は、できるかできないかが、問題が解けるか解けないかという形で表れます。だから、解けない問題が解けるようになるように、教え方をブレークダウンしていけばやがて解けるようになるという道筋があります。

 しかし、国語はそうではありません。できるかできないかということが、白黒はっきり決着がつくような形で表れるのではなく、その子の読解力に応じて、浅くわかるところから深くわかるところまで限りなく曖昧に広がっているのです。

 それは、ちょうど同じ健康体でも、すごく元気のいい人と、あまり元気のない人との差のような形で表れる差異です。原因の特定できる病気であれば、人工的な治療が成功することもしばしばあります。しかし、元気のない人をもっと元気よくするというのは、人工的な治療ではなく、自然の対応が向いています。

 健康で元気のいい人は、野菜を中心に食べる、適度の運動をする、自然に接する、明るい心でいる、など共通する特徴があります。

 国語の勉強も、これに似ています。国語の得意な子に共通しているのは、特に国語の勉強などしていないということです。国語の得意な子は、本が好きで本をよく読んでいるうちに自然に国語が得意になったというケースがほとんどです。

 このように考えると、逆に国語の勉強法がわかってきます。それは、いい文章を繰り返し読むことです。マンガを繰り返し読んでも国語の力はつきません。逆に、難しい文章をたまに読むだけでも国語の力はつきません。難しくて面白い文章を何度も繰り返し読むというのが、国語の力につながっています。

 算数・数学のできない子は、前の学年まで戻って勉強することで力がつきます。算数・数学は、低学年から高学年に向けて積み上げていく勉強だからです。

 国語のできない子は、前の学年に戻るという方法が取れません。国語は、低学年からの積み上げの勉強ではないからです。

 国語の力の土台は、前の学年ではなく、その子の家庭の国語環境にあります。家庭で、読み聞かせや読書や対話のある子は、国語力の土台が自然にできています。それらの中でも特に重要なのが読書です。受験生の場合は、通常の読書の時間はあまり取れなくなるので、読む勉強の密度を高めるために、問題集読書などを取り入れていく必要があります。

 国語の学力と、算数・数学の学力とは、性質が根本的に異なります。国語の勉強は、文章を読む練習をすることで、算数・数学の勉強は、問題を解く練習をすることで進めていくものです。しかし、国語のテストも、問題を解く形で出されるので、多くの生徒は国語の勉強も、問題を解く形でやろうとしてしまうことが多いのです。

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