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絶対語感の世界(その4)  2010年12月21日  No.1103
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 幼児期に豊富な言語環境を与えるという場合の豊富さとは、同じ文章を繰り返し聞くという意味の豊富さです。しかし、これをテープやCDで繰り返し同じ物語を幼児に聞かせるようにしたらどうなるでしょうか。

 機械による繰り返しの言語環境によって生まれた絶対言語感覚は、知的な面としては確かにすぐれたものになるでしょう。例えば、聞いたことをすぐに覚えてしまい、それを同じように再現できるというような能力です。こういう能力があれば、勉強は楽にできるようになります。しかし、そのために、言葉を楽しんだり、言葉で癒されたりするという人間的な面が逆に阻害されるようになる可能性があります。

 ところで、日本には、「三つ子の魂百まで」「習い事は六歳から」という二通りの幼児教育に関する言葉があります。絶対音感の形成が6歳以前、日本語脳の形成が6歳以降ということから考えると、どうやら3-5歳の時期の人間の成長と、6-8歳の時期の成長とは、質的な差があるようです。

 しかし、いずれにしても、幼児期という可塑性の高い時期には、特定のことをやりすぎないということが大事です。小さいころにある特定の分野で優秀になりすぎると、成長してから幸福な人生を歩む上でかえって困難を感じることが多くなるようです。

 そのためにも、人間の教育は、他人や機械に任せるのではなく、その子供に最も密着した親が自身の身体を使って行うことが大事なのだと思います。(おわり)

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