子供たちの教育でいちばん大事なことは、その子が将来自分の力で勉強を進めていけるように、しっかりとした土台を作っておくことです。それは、子供たちの頭をよくしておくことと言ってもいいと思います。
小学校低中学年のうちは、子供の勉強の成績は、親がさせればすぐによくなるように見えます。実際に、そのころに勉強をさせれば、だれでも成績は上がります。
しかし、そこで成績を上げることにばかり目を奪われるのではなく、将来役立つ頭のよさを作っておくことが大事です。成績と頭のよさは違うのかと言えば、実はそうなのです。特に、低中学年の成績と、その子が中学生、高校生になったときの成績は、かなり違います。
中学生や高校生になると、勉強の量が増えるので、自分の力で勉強できる子はどんどん成績を上げますが、そうでない子は、いくら塾に長時間通っても成績はよくなりません。しかし、かといって、そういう子が塾に通わずに自分で勉強できるかといえば、それもできません。要するに、中学生になるころに、自分で勉強できるぐらいに頭をよくしておけば、あとは高校生になっても、大学生になっても、全部自分の力でやっていけるのです。
では、小学校低中学年のうちに頭をよくするためには、どういう勉強が必要なのでしょうか。
それは、聞くこと、読むこと、対話をすることで、それらの時間を増やしていくことです。もちろん、経験をすることも大事ですが、経験は、だれでもそれほど大差はありません。大きな差があるのは、日本語を読んだり、聞いたり、考えたりする時間なのです。
言葉の森の作文の勉強の特徴は、ここにあります。言葉の森の勉強の中心は作文ですから、もちろん書くことに最も力を入れています。書く力は、現在の日本の子供たちの教育に最も欠けているものだからです。そして、これからの社会では、書く力はますます重要になってくるからです。
しかし、その書く力の土台となっているものは、実は読む力です。作文を教えている教室は、ほかにもいろいろありますが、読む力と組み合わせて書く力を考えているところはあまりありません。
では、言葉の森では、どのようにして、書く力と読む力の勉強を結びつけているのでしょうか。(つづく)
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