2011年4月から、小学校5、6年生に英語の学習が必修として導入されました。これに合わせて、早めの英語学習を考えている家庭も多いと思います。
しかし、子供の学習は、大人の学習とは違う要素があります。それは、ただ何かの知識や技能を身につけるだけではなく、その身につけ方自体を身につけてしまう面があることです。
特に、言葉というものは、ものの見方や考え方の土台となるものですから、単に学ぶ対象としてだけ考えるわけにはいきません。
人間は、6歳から8歳にかけての3年間でどの言語を母語にするかを選択すると言われています。これは、日本語脳の研究者である角田博士が、日本人と外国人を含む多くのデータで明らかにしています。
また、子供が海外で暮らすようになり、バイリンガルになる適齢期は、9歳から11歳にかけてと言われています。11歳以降になると、2種類の言語を自由に扱うことが難しくなるのですが、逆に9歳以前に2種類の言語環境に置かれると、母語の形成に支障が生じるのだそうです。
だから、小学校5年生から英語学習を行うということは、ある意味で合理的なことです。しかし、それは、母語としての日本語の学習がしっかり行われていることが前提になります。
そして、もっと重要なことは、小学校5年生から英語が始まるからと言って、家庭でその準備のために小学校3年生以前で英語教育を行うべきではないということです。
小学校3年生よりも前の学習で最も大切なのは、家庭の対話や読書の中で行われる日本語の学習です。3年生までに日本語をしっかり身につけ、そのあと、5年生から英語を学んでいくという区別をはっきりさせておくことが大事だと思います。
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