これまでの全記事
豊かさへの展望(子供たちの教育を守るために)3  2011年10月4日  No.1362
ホームページの記事は→1362


 言葉の森が考えている森林プロジェクトの目的の一つは、新しい教育を提案することです。



 新しい教育とは、簡単に言えば、

(1)受験のための教育から実力のための教育へ、
(2)外部に委託する教育から家庭と地域による教育へ、
(3)点数を目標とした教育から文化を目標とした教育へ、
(4)競争を動機とした教育から独立を動機とした教育へ、

という大きな流れの中に位置づけられる教育です。

 これを作文と国語の教育を中心に実現していくことが森林プロジェクトの目標です。



 今の子供たちの学力は、全体的に見て昔よりも低下していますが、それよりも大きな問題は、学力の二極分化が起こっていることです。(学力の低下は、はっきりしたデータが少ないという問題がありますが、なだらかな低下が起こっていることはほぼ間違いありません)

 これからの創造文化産業は、どの分野であっても理解力や思考力の裏づけが必要になります。芸術、音楽、スポーツなどの分野でも、これからは知的な裏づけが必要になってくるのです。

 だから、子供たちの学力を育てることは、教育の最も大きな目的になります。



 学力低下の原因はさまざまですが、大きく三つのことが考えられると思います。

 第一は、学習が子供たちの内的な意欲を引き出していないことです。そのために、現在の学習の多くは、強制、競争、賞罰などを意欲の動因としています。これからの学習は、子供たちどうしの協力、家庭における対話、地域での承認と期待などに支えられたものになる必要があります。

 第二は、学習の中身が、本来の目的からはずれていることです。今の学習は、子供たちの将来の生活に必要な学力をつけるよりも、受験で差がつく分野の学力をつけることを中心にして行われています。例えば、高校生の早い段階で、大学入試に対応するために理系と文系のコースが分けられてしまうことがあります。人間には、文系の教養も理系の教養も両方必要です。それが、ただ受験に対応するためという理由によって偏ったものにさせられています。

 第三は、教育の方法が時代後れになっていることです。今の一斉授業の教育は、同じぐらいの年齢や知的レベルの子供に同じ手順で同じことを教えるという昔の工業時代の教育観を基礎としています。しかし、現代は、子供たちの生活環境も学力も目標も多様化しています。このような中で、一斉授業を続けようとすれば、少人数学級や習熟度別クラスの方向に進まざるを得ません。しかし、それはただコストがかかるだけで、コストのわりに効果の少ないものです。また、コストがかかることによって、所得による教育格差を更に拡大します。



 これらの現代教育の限界を克服する方法として考えられるのが、子供たちの自学自習を基本にして、家庭と地域で支えていく新しい形の寺子屋的な教育です。(つづく)

233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9061
 
 同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
森林プロジェクト(50) 

 コメント欄
コメントフォーム

豊かさへの展望(子供たちの教育を守るために)3 森川林 20111004 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。 お名前(ペンネーム):

 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。


 低学年から学力の基礎を作る
幼長、小1、小2、小3の基礎学力をひとつの講座で学ぶ。
読書の習慣、国語算数の勉強、暗唱の学習、創造発表の練習をオンラインで。


受講案内の郵送(無料)をご希望の方は、こちらをごらんください。
(広告規定に基づく表示:受講案内の郵送を希望される方はご住所お名前などの送信が必要です)

電話通信の無料体験学習をご希望の方は、こちらをごらんください。
(無料体験学習をお申し込みの方に、勉強に役立つ小冊子をお送りします。)

Online作文教室 言葉の森 「特定商取引に関する法律」に基づく表示」 「プライバシーポリシー」