では、具体的に小学生のころの勉強はどのように進めていけばいいのでしょうか。
小学校では、国語、算数、理科、社会、英語などを教科の勉強として習います。
この中で、国語と算数以外は、特に小学生のときはしなくてもいい勉強です(してもいいのですが)。学習塾などでは、学校の勉強に合わせて理科や社会もやるようになっているところが多いと思いますが、そういう勉強に時間をかけるよりも、国語と算数だけを家庭学習で確実に習得し、あとは学校の勉強に任せておくのがいいと思います。
国語の勉強の基本は、難しい文章を読む力です。それは、難しい語彙を読む力と、難しい内容を読む力の両方が含まれます。戦後の日本ではルビ(ふりがな)を使わない書き方が一般化したため、子供たちの漢字を読む力が低下しました。難しい内容を読む前に、難しい漢字が読めないという壁ができてしまったのです。
したがって、小学校中学年のころまでに、小学校で習う漢字を全部読めるようにし、小学校を卒業するころまでに、中学校で習う漢字も全部読めるようにしておくことがこれからの家庭学習では必要になります。
漢字の読みの力をつけた上で、小学生の中高学年のころに、中学入試の国語の問題文になるレベルの文章を読んでいきます。問題集の文章というと、勉強のような感じがすると思いますが、読む力がついてくると読み物としても面白いものです。ただし、読むだけの勉強は形が残らないのでつい忘れてしまいがちです。忘れないようにするためには、傍線を引きながら読む、読んだあと四行詩のような形で印象に残ったことを書く、音読で読むなどの工夫が必要になります。この中では、音読が手軽で続けやすいと思います。しかし、この音読も真面目に普通に読むと飽きるので、抑揚をつけた棒読みで読むという工夫をするといいと思います。
漢字の書き取りは、漢字の読みが土台になっていますから、書くよりもまず読む練習を優先しておきます。漢字の書き取りは、ドリルのような形で勉強すると、書ける漢字を何度も書くことになり時間がかかります。江戸時代の漢字の書き取りの練習の仕方は、半紙に書かれた手本を何度もなぞりその半紙が真っ黒になるまで書くという方法でした。このように一文字を徹底して書いて覚えるという方法であれば無駄がありません。この繰り返しの回数は40回ぐらいと決めておくといいと思います。一般に漢字の書き取りの練習は、繰り返しの回数が少ないからです。(つづく)
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