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国語力をつける根本的な勉強法 5「難読力の土台としての、漢字集の暗唱」  2013年3月25日  No.1773
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 文章を読む力として大事なのは、難しい文章を速く的確に読み取ることです。
 では、難しい文章とはどういうものを指しているのでしょうか。その基準のひとつが、教科書に使われているような文章です。単純に言えば、小学生なら中学の教科書に載っているような文章が難しい文章で、中学生なら高校の教科書に載っているような文章が難しい文章です。
 その考えを更に単純化して考えると、小学生の場合は中学入試の問題に出てくるような文章が難しい文章で、中学生の場合は高校入試の問題に出てくるような文章が難しい文章だと言うことができます。

 読書の本来の目的は、内容を味わうことですから、自分の好きな読書はそれが易しいものであっても難しいものであっても、本人の興味のままに進めていく必要があります。しかし、今日の社会では、そのままでは質の低い読書からなかなか抜け出せません。
 そこで、教育としての読書ということを考えた場合、問題集読書という方法が出てきます。文章を読む力のある生徒は、国語の問題集に載っているような文章を楽しく読むことができます。小学生のころ、学校から教科書が配られると、国語の教科書を読書がわりに全部読んだ人も多いと思います。同じように、国語の問題集に載っている文章も、読む力のある生徒は読書として読むことができるのです。だから、問題集読書には読書の楽しみという要素もありますが、更に重要なのは言葉の教育としての読書の役割があるということです。
 この問題集読書にスムーズに取り組むための準備として、漢字集の暗唱による漢字のイメージ化があります。

 小学6年生で習う漢字の中に、「朗報 貴族 神聖 奮起」という言葉があった場合、普通は、これらの漢字をひとつひとつを読みと意味と書きの知識として理解するのが漢字の学習です。しかし、読める、書ける、意味がわかるということが、そのまま自由に使えることになるのではありません。
 自由に使えるためには、それらの漢字が漢字という意識のないままイメージとして把握されるようになっている必要があります。通常は、読書や対話の中で何度もその漢字に接っし、文脈の中でその漢字を読むことによって、漢字とイメージが結びつくようになります。だから、読書量の多い子や家族の対話が豊かな子は、漢字の勉強を特に何もしていなくても、難しい本を読むことができ作文や会話の中で使える漢字が多くなるのです。

 漢字集では、これらの4つの漢字をひとまりのつながりのまま暗唱します。4つの言葉を続けて暗唱していると、この言葉のつながりを自然に自分らしくイメージ化するようになります。例えば、「朗報が、貴族に届いたので、神聖な気持ちで、奮起した」というようなイメージです。
 しかし、これが、この4つの言葉のつながりだけを覚えるのであれば、言葉のイメージ化はそれほど必要ではありません。短期記憶の範囲で処理できることは、わざわざイメージ化する必要がないからです。

 だから、漢字集は、24語(48文字)のつながりをひとつのセットとしています。それは、漢字2文字でできる4つの熟語が6回並ぶぐらいがちょうど語呂がいいということと、その長さが短期記憶で処理できる範囲を超えているので、必然的に暗唱することでしか覚えられないからです。
 例としては、次のような言葉の配列になります。(小6の漢字集の一部)

宣言せんげん 盟主めいしゅ 仁義じんぎ 優美ゆうび 官庁かんちょう 吸収きゅうしゅう 諸国しょこく 城門じょうもん 朗報ろうほう 貴族きぞく 神聖しんせい 奮起ふんき
著名ちょめい 磁石じしゃく 密接みっせつ 否定ひてい 異色いしょく 討論とうろん 容認ようにん 名詞めいし 通訳つうやく 訪問ほうもん 誤解ごかい 誕生たんじょう


 この48文字を続けて30回ぐらい声を出して読むと、ひとまとまりの音のつながりとしてほぼ暗唱できるようになります。時間は5分程度です。
 常用漢字が無駄なく使われていることと(この場合は小6の配当漢字)、それなりに意味のつながりが感じられることと、読んでいて語呂がいいという意味で、現代流の素読と言うこともできます。(つづく)

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