これまでの全記事
公立中高一貫校の試験問題の解き方  2013年6月10日  No.1838
ホームページの記事は→1838


 受験とは、点数の差をつけるためのものですから、難しくなければなりません。
 しかし、知識の詰め込みのような形でなく、考える力で難しくするためには、人間が考えにくい形で考えさせる問題を作る必要があります。

 そこで、どんな問題が出るかというと、ひとつは、多数の短期記憶を必要とする問題です。
 人間の頭は一度に7つぐらいのことしか同時に処理できないので、それ以上の変数がある問題が出せられると、途端に処理速度が落ちるのです。(パソコンに似ていますが)

 そのときの対応のコツは、多数の情報を圧縮して処理することです。
 例えば、都立白鴎中の2012年の問題で、8つのタワーの並び方を問う問題が出てきます。

 それは、
1.神戸ポートタワー
2.東山スカイタワー
3.横浜マリンタワー
4.銚子ポートタワー
5.さっぽろテレビ塔
6.福岡タワー
7.東京タワー
8.東京スカイツリー
の8つです。
 そして、それぞれのタワーの条件として、
A.電波塔であるかどうか
B.関東地方にあるかどうか
C.平成元年以降にオープンしたかどうか
の3つがあります。

 これらの組み合わせを考えるときに、いちいち「東京スカイツリーは、電波塔であって、関東地方にあって、平成元年以降のオープンで……」と考えていたら、それだけで短期記憶のメモリーをほとんど使ってしまいます。
 そこで、タワーの頭文字だけを操作すればいいようにするのです。
 すると、「『す』は『でかへ』で……」となるので、思考の速度がぐんと上がります。


 もうひとつの人間の脳に苦手な操作は、物事を立体的に思い浮かべることです。
 人間の目は、平面的に見ることに慣れているので、立体的なものの向こう側を操作することがなかなかできません。日常生活では、実際に立体の後ろ側に回って処理すればいいので、頭の中だけで立体の処理をすることに慣れていないのです。

 都立小石川中の2012年の立体図形の問題がちょうどそういう問題です。
 図8の「1」の列の16個を「4」の列の16個とそっくり入れ換えたのが図9です。





 つまり、図8の「1」の「イ」の「B」に隠れていた「色のついた立方体」が、図9の「4」の「イ」の「B」に見えるようになったということです。
 問題は、図9に何度か操作を行い、色のついた立方体4つのうち1つだけが見える状態にすることができるか、できるとしたらその方法はどうか、というものです。

 日常生活では、こういう問題は実際に立方体を動かせば済むことなので、頭の中で考えて処理するようなことはありません。
 だから、こういう問題は難しく感じるのです。

 こういう問題に対応するコツは、フリーハンドで立体図をかいてみることです。そして、それを動かした図をまたかいてみるのです。



 しかし、こういう図をかいてみようかと思いつくためには、普段から絵や図をかくことに慣れている必要があります。
 それは、一見遊びのようなことですが、そういう時間の過ごし方が厚みのある学力になるのです。


 厚みのある学力というと、太陽の動きや星座の動きのようなものも、立体的な上に球面で動くというわかりにくいところがあります。
 天体の問題に対応するために、自分の家の周りで、どこから太陽が昇って、どこに沈むかということを感覚的に知っている必要があります。
 こういうことも、生活の中で身につける学力なのです。

233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9061
 
 同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
公立中高一貫校(63) 

 コメント欄
コメントフォーム

公立中高一貫校の試験問題の解き方 森川林 20130610 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。 お名前(ペンネーム):

 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。



受講案内の郵送(無料)をご希望の方は、こちらをごらんください。
(広告規定に基づく表示:受講案内の郵送を希望される方はご住所お名前などの送信が必要です)

電話通信の無料体験学習をご希望の方は、こちらをごらんください。
(無料体験学習をお申し込みの方に、勉強に役立つ小冊子をお送りします。)

Online作文教室 言葉の森 「特定商取引に関する法律」に基づく表示」 「プライバシーポリシー」