兄弟で作文を書くと、年が近い兄弟であるほど競争意識がわくようで、どちらの字数が長かったかということにこだわることがあります。
競争というのは、最初は意欲付けになるような気がするので、そのまま競争的な意識を持たせるようにしてしまうと、一方が得意になり、もう一方は苦手になっていきます。
これは、読書でも同じで、例えば、上の子が読書好きだった場合、親は特に比較する気持ちはなくてもつい下の子に比較する言葉を使ってしまうことがあります。「お姉ちゃんは、よく本を読んでいたのにねえ」など。
すると、比較された下の子の方は、確実に読書嫌いになります。
だから、大事なことの第一は、字数や読書の量などの量的なところで子供の努力を比較しないことです。
それぞれの質の違いのよさを認めて、「あなた(上の子)は、こういうところがよくて、あなた(下の子)は、こういうところがいいね」と、同じように認めてあげることです。読書では、それぞれの好みのジャンルの違いを個性のよさとして認めてあげることです。
大事なことの第二は、子供どうしが他人と比較して自分を評価しないように教えてあげることです。
今の社会では、子供たちは、常に競争や比較の中に置かれています。そのため、自分と他人の関係をすぐに優劣の比較の中で見ようとします。他人と比較してがんばるようながんばり方は、一時的なもので、やがて限界が来ます。
子供は素直ですから、大人が正しいことを話せばすぐに理解します。もし、他人と比較して、「○○ちゃんより、ぼくの方が○○が得意だ」という言い方をしたら、次のように言って教えてあげるのです。
「人間には、それぞれ長所があるんだよ。あなたにも、いいところがあるように、ほかの人にもいいところがたくさんあって、それはすぐに見えることもあるし、なかなか見えないこともある。だから、自分の方がよくて他人がだめだと考えるのではなく、自分は自分でいいところがあるように、他人には他人のいいところがある。それぞれのいいところを伸ばしていくことがいい社会を作ることにつながると考えるといいんだよ」
子供が小学校1年生や2年生で、こういう言葉の中身が充分に伝わるように見えない場合でも、親が話したことは、必ず子供の心に伝わっているのです。
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