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疎外された消費から、主体的に参加する消費へ  2013年10月17日  No.1959
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 消費者は王様で、お客様は神様だと言われていましたが、これまでの王様も神様も、自分が受け取るものの生産から疎外されているという点で、世の中に対して主体的に参加しているとは言えませんでした。

 これからの消費者とお客様は、受け手でありながら送り手の側にも積極的に関わるようになります。
 そして、消費と生産の双方向からの融合が進むことによって、人間は疎外された消費者や、ある職業に固定された生産者である前に、その人の個性によって生きる存在になっていくのです。

 例えば、近所の八百屋さんで(今あまりありませんが)、大根を買った消費者が、別の日にはその大根を育てている農園で農作業に参加していたり、その大根を売っている八百屋さんが、休みの日にはお店を会場にして、自分の好きな音楽を近所の子供たちに教えていたりするようになるのです。

 その時代はもうとっくに始まっていて、これからは、それがあらゆるところに広がっていく時代です。
 言葉の森が今企画している森林プロジェクトやオープン教育も、そういう流れの中で生まれてきたものです。

「オープン教育」
https://www.mori7.com/ope/

 人間が生産者や消費者や職業や社会的役割という属性から自由になるにつれて、人間は本来の個性で生きるようになります。

 これまでの社会では、人間がそれぞれ特定な属性に縛られていたために、その属性のもとで全面性を獲得するためには、自分にないものを持つ他人を支配しなければなりませんでした。
 その時代が長く続いたために、今でもまだ人は、自分にないものを持つ他人がいると、うらやましい気持ちが起きてきます。
 そのうらやましさは、自分にないものを持つ他人に支配されたくないという感覚とうらはらの関係にあります。その感覚が、競争意識の源泉になってきたのです。

====facebook記事より。

 人間が個性的になると、自分が持っていないものを他人が持っていることに対して、うらやましいという気持ちは起きず、むしろ他人の長所を喜ぶようになります。
 それは、自分もまた、他人の持っていない長所を持ち、その長所どうしを互いに与え合う関係になるからです。

 これからの社会では、競争意識は次第に稀薄になります。
 競争を楽しむことはあっても、それに過度に燃えることはなくなっていきます。

 むしろ、肝心の決勝場面で大技をミスして笑いを取るような余裕を、多くの人が持つようになってきます。
 それは、競争そのものではなく、競争を味付けにした交流です。

 そして、競争の前提となっていた支配と所有の時代は遠ざかり、共感と共有の時代が始まっていくのです。

▽関連記事
「勉強のよくできる子こそ個性を伸ばす教育を」
https://www.mori7.com/index.php?e=1905

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