語彙力検定というものがあります。その学年の子が、どこまで語彙を知っているかという目安にはなりますが、そのための勉強をしたところで語彙力がつくわけではありません。
ことわざ辞典も同じです。ことわざに関する知識は身につきますが、それでことわざ力がつくのではありません。
語彙力やことわざ力は、生きた使い方をすることによって身につきます。だから、最もよい勉強法は、日常生活の中で難しい語彙やさまざまなことわざや名言を実際に使ってみることです。
知識として身につけた言葉は、知識だけで終わってしまいます。知識があるのにこしたことはありませんが、生きた言葉が第一で、知識が第二という軽重の差を理解しておく必要があります。
よく、耳にタコができるぐらい聞かされる言葉というものがあります。そういう言葉は、その言葉を身につけようとは思わなくても、いつしかその人の血や肉となり、生きた言葉になります。
そういう言葉は、話す人の深い体験に結びついていることが多いからです。
大事なことは、たくさんの知識だけの言葉を覚えることではなく、限られた数ではあっても生きた言葉を身につけることです。
そのために親のできることは、自分自身の体験を、いろいろな機会を利用して子供に話してあげることです。
そして、その体験を話すときに、その事実だけではなく、事実の背後にある本質的な概念も言葉にしようとすることです。すると、対話の中に、自然に抽象的な語彙が盛り込まれるようになります。
例えば、体験談を話したあとに、その体験談にあてはまるようなことわざを考えてみるというようなことです。また、話を楽しくさせるために、たとえを使ったりダジャレを入れたりというような工夫もしてみるといいのです。
こういう対話の機会として活用できるのが、言葉の森の毎日の長文音読と毎週の作文課題です。
親子の対話は、子供が小学校低学年のうちに始めると、自然に生活の一部になります。
子供の語彙力は、親子の対話の中で育っていくのです。
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