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新しい教育とは、新しい人間の見方の発見(その1)  2014年11月6日  No.2253
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 ニュートンは、世界を、力学という見方で見ました。それは、力学からの世界の発見でした。
 発見は、見方を変えるだけで、それ自体は何も変えません。しかし、その発見がそのあとに続く世界の改造にさまざまにつながっていったのです。

 今、世界は大きな曲がり角に来ていると多くの人が感じています。これまでのやり方の延長では、いずれうまく行かなくなると誰もが思い始めているのです。
 では、その曲がり角とは何かということは、世界をどう見るかという発見の仕方と結びついています。

 その一つは、環境の面から世界を見るという見方です。
 今の社会の延長では、環境破壊の進展を止められないとすれば、その解決策は、画期的な省エネ省資源技術の開発と、環境を優先する経済の仕組み作りです。
 経済の仕組み作りについては、例えば二酸化炭素の排出権取引は、そもそも二酸化炭素が温暖化に結びついていたかどうかに疑問が出され、これまでの試みは単なる経済的策略のように思われるようになってきました。
 しかし、環境の保護や自然の再生という経済的な需給関係に任せていては解決のつかない問題を、国と国との条約で経済の仕組みに組み込むという発想は、これからますます必要になってきます。

 未来の世界は、自由貿易によって動く金額だけでなく、この国際的に決められた尺度によって動く金額が、経済の大きな範囲を占めるようになるでしょう。
 そして、この理念をもとにした枠組みは、環境保護にとどまらず、人間の自由や幸福や向上のようなところまで指標化する形で発展していくでしょう。
 例えば、ブータンという国で、国民の満足度が高いとすれば、それは輸出品と同じように他国に売ることのできる経済的資産になります。これからは、その国の民度の高さも、それ自体が大きな経済的資産になってくるのです。

 世界の曲がり角に対するもう一つの見方は、今の世界の停滞を新しい需要の不在から見る見方です。
 現在では、生活の必需品に関しては、世界全体の供給力は、世界の需要力を上回っています。問題は、その供給力の余剰がほかのところに向かわずに、需要力の範囲に抑制されていることです。いわゆる豊作貧乏と同じようなことが、世界全体で起こっているのです。
 この解決策は、新しい需要を創造することです。しかし、それは穴を掘ってまた埋めるというような需要ではなく、人間の生活にとって価値のある需要でなければなりません。
 そう考えると、これからの新しい需要は、文化的な需要です。これからは、文化的需要を大衆的に生み出す力を持っている国が、大きな経済的可能性を持つようになるのです。

 さて、世界の新しい見方とともに今後求められてくるのは、人間というものの新しい見方です。
 これからの教育の方向を考える場合、人間をどう見るかということが重要になってきます。(つづく)

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