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「褒める子育て」の経済学の向こう側  2015年7月24日  No.2388
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 「褒める子育て」と「高い学力」に相関関係はありますが、それは単純な因果関係ではありません。むしろ、短期間で言えば、「叱る子育て」の方が学力の伸びは高い傾向があります。
 しかし、「叱る子育て」を基本にしていると、勉強はだんだん暗い雰囲気になってきます。

 競争も同じです。競争のない状態よりも競争のある状態の方が、学力の伸びは高くなります。しかし、競争を基本にしていると、物事や人間に対する視野が狭くなるのです。

 だから、「褒める子育て」は、経済学として考えるのではなく、人間の生き方や社会のあり方として考える必要があります。
 江戸時代の教育は、叱ることや競争を煽ることを極力避けて、子供の本来の自然を伸ばすような教育でした。しかし、それで学力が低下していたかというとそういうことはなく、当時の世界最高水準の教育が実現していたのです。

 子育ては、学力の面だけで考えるのではなく、人間の成熟という面で考える必要があります。
 大人でも、不満や愚痴をよく言い、世の中を批判し、機嫌のいいときよりも悪いときの方が多いような人は未熟な人です。そういう大人に「叱る教育」をされて学力が伸びたとしても、その子が望ましい成長をしているとは言えないでしょう。

 教育に関する客観的な調査や研究は、もっと進められる必要があります。しかし、同時にその客観的なデータの向こう側を見る人間観を持つことは、もっと大事なことなのです。

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