読書の仕方は、もちろん自由ですが、読むことで力がつくのは、次のような読み方です。
第一は、次々と新しい本を1回しか読まないという読み方ではなく、好きな本を何度も繰り返し読むことです。
お母さん方の中には、「同じ本ばかり読まないで、もっと別のいろいろな本を読みなさい」というアドバイスをする人もいますが、そういう必要はありません。
自分の好きな本を読む中で、その本の内容が頭に入るだけでなく、その人のものの見方や考え方も形成されるのです。
第二は、じっくりゆっくり読むのではなく、何しろ早く最後まで読み切るということです。
本というものは、最後まで読んで初めて全体像が頭に入ります。最後まで読み切ることで、途中までのわかりにくかったところもわかるようになるのです。
最初からじっくりと読んで、なかなか最後まで行かないと、その本の全体像がかえってつかめなくなります。
まず最後まで読み、そのあとに、必要に応じて繰り返し読むという読み方がいいのです。
これは、国語の文章題を解くときも同じです。特に、入試の問題文は、最初のところがわかりにくくなっていて、最後のところまで来ると初めて全体の話がわかるという作りになっているものがよくあります。
読むことに慣れていない子は、この最初のところを理解しようとして時間をかけてしまうことが多いのです。
第三は、易しい本を数多く読むよりも、数は少なくていいので難しい本を読むことです。
小中学生のころは、読みやすい本でなければ読書が進まない面もありますから、易しい本でもかまいませんが、高校生や大学生になったら、自分で自覚して難しい本を読むようにする必要があります。
難しい本というのは、高校の歴史の文化史の部分に出てくるような古典と言われるような本です。こういう本を1冊読む時間があれば、普通の本は10冊ぐらい読めます。しかし、難しい本を読むことによって考える力がついてきます。
具体的に言えば、岩波文庫や講談社学術文庫に収録されているような本です。
特に、日本の大学では、勉強は高校時代よりも楽なことが多いので、自分で意識的に難しい本を読むことによって力をつけていく必要があります。