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英語を学ぶのは小4以降――帰国子女の日本語教育の基本は家庭  2015年12月1日  No.2482
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 外国語を意識的に学んでよい時期は、10歳以降です。その時期以前に、母語以外の言語にさらされると、母語が正しく成長しません。これは、既にいくつかの研究で確かめられていますが、その研究の結果が広がっていないために、いまだに幼児期から英語の勉強をさせてしまう人が絶えないのです。

 中には、親自身が、日常会話で子供に話しかけるときに英語を使っているということさえあります。この結果、どういうことが起こるかというと、肝心の日本語も英語もどちらも中途半端な子供が育ってしまうのです。

 母語が正しく成長しないという結果が出てくるのは、少し年齢が上がってからのようです。ですから、小学校時代は、日本語も英語もどちらもそれなりにできるような気がしてしまうのです。

 言語は、人間がものを考えたり感じたりするための最も根底にある土台です。算数や理科や社会などの教科と同じような勉強のひとつの科目なのではありません。

 言葉の森の生徒の保護者の中には、英語教育に携わっている人もいます。また、子供を英会話教室に通わせている人もいます。ですから、ここで早期の英語教育を批判することは、それらの人の気持ちを逆なですることもあると思います。

 しかし、何事も、おかしいと思ったらやり直せばいいだけです。早期の英語教育に違和感があると思ったら、ただそれをやめて、もっと日本語を豊かにする生活に切換えていけばいいのです。

 日本に住んでいる子の日本語教育は、よくないことをやめればいいだけですから簡単です。
 しかし、難しいのは、海外に住んでいる日本の子供の日本語教育です。特に、小学校3年生までの低学年の時期に海外で暮らさざるを得ない場合は、かなり厳しい環境に置かれていると考えられます。

 低学年の日本語教育は、家庭でしかできません。
 これが、日本語力が既に定着している小学校4年生以降の海外生活であれば、既に形成されている日本語力の基礎の上に現地の言葉を学べばよいのですから、かえってプラスになります。
 小3以前か小4以降かという時期の違いが決定的なのです。

 しかし、小3以前の子供の場合は、親との生活を楽しむ時期という有利な点があります。小4以降になると、親よりも友達との生活の方が優先されるようになります。ですから、この親と一緒にいることを好む時期の利点を生かしていくことが大事です。

 そのためには、海外で生活する場合でも、家庭では日本語で話すことを徹底することです。父親が日本人でない場合は、父親はその父親の言語で、母親は日本語でという区別をはっきりさせておけば、子供は混乱しません。
 日本人である母親が、日本語と現地の言葉を両方使うようなことを家庭で行うと、混乱が生じるのです。

 今、日本では、国際人を育てるという名目で、英語教育の必要性がさまざまなところで唱えられています。しかし、コミュニケーションの道具としての言語は、今後必ず機械によって代替されるようになります。それは、自動車の自動運転が昔は夢物語であったのに、今では現実の日程までのぼってきているのと同じです。

 道具には、道具として発展する方向が内在しています。道具の不十分さを人間の努力で補うというのは、過渡的な現象です。
 人間は、道具には委ねられない人間だけができることに、時間を費やしていくべきなのです。

233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9061
 
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