音読というのは、文章のリズムに沿って読むことですから、句読点で区切って普通に読む読み方でかまいません。
しかし、暗唱の文章も同じように読むと、何度繰り返してもなかなか暗唱できません。
暗唱の読み方は、できるだけ早口で、棒読みで、句読点でもほとんど区切らず、しかしリズミカルに読んでいくのがいいのです。
棒読みでリズミカルにというのがわかりにくいと思いますが、お経のような読み方に似ていると思うといいでしょう。
もちろん、これは最初の暗唱が定着するまでの間で、暗唱がすっかりできるようになったら、句読点で区切る普通の読み方でいいのです。
なぜ、句読点で句切らない方がいいかというと、句読点で区切ると、意味のつながりで読もうとしてしまうからです。意味のつながりで読むと、説明文の場合はストーリーがありませんから、次の言葉が出てきません。
句読点で区切らずに読むと、一連の文章の流れが、音楽の歌詞のような形で次々に浮かんでくるようになるのです。
しかし、早口で読むと言っても、最初から早口で読むのではありません。
よく、助詞の「てにをは」を読み間違える人がいます。「どこどこへ行く」を「どこどこに行く」などと読んでしまうのです。
最初に間違えて読むと、この読み間違いはなかなか直りません。最初の読み方は、できるだけ正確にゆっくり読むことが大切です。
正確な読み方が確実にできるようになってから、だんだん早口で止まらずに読むようにしていくのです。
暗唱は、暗記ではありません。
覚えることが目的ではなく、文章が自分の身につくことが目的です。だから、何とか覚えて読めればいいというのではなく、無意識のうちに最初から最後まで一息で読めるようになることが大事です。
道を歩いているときなどに、ふとその暗唱の一部が思い出されるようになることが暗唱の目標なのです。