言葉の森では、作文指導を更に充実させるために、次のようなことを考えています。
第一は、入力の仕組みを作ることです。
作文を出力だとすると、入力は、自分の体験や知識です。特に、知識の部分は学年が上がるほど個人差が大きくなり、本をよく読んでいる子とそうでない子との間には、生かせる実例の幅に大きな違いが出てきます。
これまで、言葉の森では、毎日の自習として長文音読や読書をすすめてきましたが、今後更にそれを強化して、長文暗唱を取り入れていきたいと思っています。今、その仕組みを検討しているところです。毎日100字から200字程度の暗唱であれば、10分から20分ほどでできるので、その暗唱を繰り返して、長文を丸ごと暗唱できるようにしたいと思っています。
第二は、思考の仕組みを作ることです。
入力と出力の間に、自分の考えを深める思考という過程があります。
これまでは、作文を書く前に考えたり構成メモを書いたりする形で思考を処理してきましたが、今後それを更に強化して、構成の図を書くような指導をしていきたいと思っています。これは、自分の持っている材料を一枚の紙に二次元的に広げて矢印などで図示して考える方法です。ちょうど同じようなことが、マインドマップやダ・ヴィンチ・メソッドでも取り上げられていますが、それらの方法とは少し違います。
なぜ二次元的に広げて考えることが大事かというと、人間の短期記憶が七個程度しか保持できないからです。入力の場合は、七個程度の語句のつながりを逐語的に消化しながら読み取っています。出力の場合も、七個前後の語句のつながりをそのつど組み立てながら書いています。作文を書くときは、語句のつながりを維持するだけで七個程度のメモリーをほとんど使ってしまうので、周囲がうるさいと書けなくなるのです。ところが、材料を二次元的に広げると、仮想的な短期記憶が一挙に増大します。そこで、異なる材料の間にある論理的なつながりを発見しやすくなるのです。構成図を書くことによって考えを深めるというのは、このような意味です。
第三は、出力の仕組みを改善することです。
現在は、それぞれの進度に合わせた構成の仕方に基づいて1200字程度の文章が書けることを目標にしていますが、1200字の文章を書くためには、やはり1時間ほど時間がかかります。忙しいときには、1200字も書けないとなると、つい時間のあるときに書こうと思って後回しにしてしまいがちです。しかし、既に長文を読んで、どう書くかを考えているのであれば、その場で書いた方が勉強になります。
そこで、忙しいときには、規程の字数まで書けなくてもいいから、構成メモを書いてとりあえず完成させておく、ということを考えています。この構成メモに作品としてのまとまりを持たせるために、四行詩として書くということが考えられます。構成の四段落に沿った四行で文章を書き、中に必ず光る表現を入れる、という形です。
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