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芸術とは何か  2008年12月29日  No.344
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 今日は、芸術とは何かということについて説明します。
 芸術とは何かということは、スポーツとは何かということにも関連してきます。
 芸術は一言で言えば、美の表現です。表現の前提として美の感受性を蓄積することが必要になってきます。
 世間で一般に考えられている芸術は、表現をするための技術や能力を指して言っていることが多いと思います。つまり、表現の技能が芸術とみなされているということです。
 技能とは、道具を身体の一部のように動かすことです。その道具を通して人間が本来持っている美が表現されます。道具がなければ表現できなかったような美を、道具を通して創造的に表現することが芸術です。
 この道具は手段であるとともに、制約も持っています。日本人は真面目なので、この制約を自己目的化しがちです。真の目的は美の表現で、次の目的は表現のツールを身体化することです。ツールを身体化するためにツールの制約を受け入れるというのは、次の次の目的になります。次の次の目的が、いちばん大きな目的のようになってしまうようなところに問題があるのです。
 たぶん、ここから、ピアノを弾くには指の保護のためにバレーボールをしない方がいいというような話が出てくるのだと思います。
 同様にスポーツでも、例えば、バスケットボールはゴールの高さという制約を自己目的化している面があります。身長制のバスケットを背の低い日本人が提案すれば、もっと多くの人が楽しめるスポーツになるはずなのにです。
 制約が自己目的化する背景には、ギルド制のようなものがあります。あれをしてはいけないとか、これをしてはいけないと複雑化していくのは、複雑化が参入障壁となるからです。
 未来の社会は、芸術についてもスポーツについても、もっと自由になるはずです。自分の長所を生かしたツールを使うというのが、芸術とスポーツの大きな方向になります。
 例えばピアノ弾きたい人が片手であった場合に、片手を自分の制限として考えると後ろ向きになります。片手で引ける曲を探すだけでなく、もっと大胆に片手用の楽器を作り、そこに習熟するように訓練することが前向きの解決策です。
 この訓練というものが、身体を持つ人間が表現と関わるためのキーとなります。他の人では簡単に真似できない長期間の訓練によって、新しい芸術表現の可能性が創造されるのです。
 すべての芸術は、美の表現を道具や材料という手段を通して行うものだという本質を押さえておくことが大切です。
 すると、未来の芸術教育の主要教科は、感受性を育てること、あるツールを使った練習に習熟すること、そしてそのあと、多様な手段を使った表現に道を開くこと、になると思います。
(この文章は、構成図をもとに音声入力した原稿をamivoiceでテキスト化したものです)

マインドマップ風構成図
 記事のもととなった構成図です。


音声入力
 構成図をもとに音声入力した原稿を2倍速にしたものです。
2倍速

四行詩
 芸術とは、美を表現することである。
 表現する手段に習熟することは、芸術の準備である。
 スポーツとは、身体の可能性を創造することである。
 創造する方法に習熟することは、スポーツの準備である。

 だから、片手がなくてピアノを弾きたいなら、片手用の楽器を作って習熟すればいい。
 身長が低くてバスケットをしたいのなら、ゴールを低くした身長制のバスケットを提案して習熟すればいい。
 制約自体を不変のものであるかのように自己目的化するから、芸術もスポーツも自由な多様性がなくてみんなが苦労する。
 手段や方法が先にあるのではなく、人間が先にある。

(この詩は、森川林のブログに書いたものと同じです)
http://ameblo.jp/kotomori/entry-10184611316.html

笑い
「芸術やスポーツが苦手だから、そんなこと言ってんでしょ」
「うん、図工と気登りは得意だったんだけど」(^^ゞ

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