男の人に多いと思いますが、食事は食べられればよい、衣服は着ていればよい、と簡単に済ませてしまう人がいます。
それに対して、おいしい食事にこだわり、気に入った衣服にこだわるという人がいると思います。
物を生産することに関心があり、いつも何か新しいものを作ろうとしている人もいます。
一方、物を消費することに関心があり、いつもよりよいものを見つけたいと思っている人もいます。
そのどちらも、社会の中では必要です。
「紺屋の白袴」の紺屋は、きれいな紺に染めることに関心があり、自分がそれを身につけることには関心がありません。
その紺を見極め、楽しむ人が他方にいるからこそ、紺屋の生産の努力が報われます。
消費者が消費を楽しむから、生産者が生産を楽しむことができるのです。
生産者に消費をすすめたり、消費者に生産をすすめたりするのは、限られた人生では虻蜂取らずになるだけです。
世の中には、新しいことにすぐ乗ってくる人がいます。
その一方、古いものをずっと守ろうとする人がいます。
両方いるから、歴史が継続的に発展します。
だから、子供の教育も両方の面から考える必要があります。
作る楽しさを味わうことも、作られたものを生かす楽しさを味わうこともどちらも大切です。
今までの日本の社会では、作られたものを生かすことに重点が置かれていました。
大学生のレポートでも、どれだけオリジナルなことを書いているかよりも、どれだけ古い文献を引用しているかが評価されるところがありました。
だから、古いものが次々と蓄積されるだけで、新しいものが生まれる余地が少なかったのです。
もちろん、作る人ばかりでは世の中は成り立ちません。
新しいものであればあるほど、新しいものとそれまでのものとの兵站をつなぐ人が必要になります。
大人の社会では、それはそれぞれの得手不得手に応じて分業することができます。
しかし、子供時代には、分業ではなく、両方をバランスよく育てる必要があります。
新しいものを作ることを評価するとともに、作ったあとの片付けを評価することも大事です。
逆に、決められたことをきちんとやるだけでなく、決められていないことを自由にやることも大事なのです。
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小学3年生の感想文の課題にアインシュタインの話が出てきます。
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アインシュタイン博士は、この町でだれからも愛されうやまわれました。ただひとつ、あまりにも身なりをかまわないことだけは、人々のじょうだんの種になりました。古いセーターに、サンダルばき。くつしたをはかず、さんぱつも大きらい。
こんな博士に、「すこし服装に気をつかわれたらどうですか。」と、だれかが忠告すると、「肉を買って、包み紙のほうがりっぱだったら、わびしくないかね。」と、やりかえされてしまいました。
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こういう人もいていいのです。
しかし、こういう人ばかりだったら、世の中の美しさは半減するでしょう。
花は虫を呼び寄せるためだけに咲いているのではなく、自分が美しく咲きたいから咲いている面もあるからです。
しかし同時に、美しい牙を伸ばしすぎて、獲物をつかまえにくくなったサーベルタイガーは滅んでしまったのです。(事実は違うかもしれませんが)
ジグソーパズルが好きだったという人の話を聞いて驚きました。
私は、ジグソーパズルには全く興味がなかったからです。
人の作ったものでばらばらになったものを元に戻して何が面白いのだろうと、みんな思っていると思っていたからです。
子供が小さかったころジグソーパズルを持ってきたときは、「こんなのやるより、裏に自分たちで絵をかこうぜ」と言って、オリジナルなジグソーパズルを作って遊んでいました。
世の中にはたぶん、そういうジグソーパズルに全く興味のない人と、ジグソーパズルのようなことが好きな人の二種類の人がいるのだと思います。
前者はあまり仕事ができない人、後者はきちんと仕事ができる人です(笑)。
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