言葉の森の小学校4年生の課題に「小さいころから大切にしているもの」というのがあります。小学校4年生ですから、この世に生まれてまだ10年くらいしか経っていないわけですが、自分が幼いころから大切にしているものについて紹介し、それにまつわるエピソードを書きます。自分が生まれたときに祖父母が買ってくれたぬいぐるみ、小さいころによく遊んだおもちゃなど、毎回、ほほえましい作文がそろいます。
小学校4年生では、結びの工夫の練習をします。作文の最後を動作や情景を表す文で結ぶのです。「ぼくは、今日もそのぬいぐるみといっしょに眠ります」「私は、人形をそっとおもちゃ箱にしまいました。」といった具合です。中には、「祖父母に買ってもらったぬいぐるみは、今も押入れの段ボールの中で眠っています。」などというのもあります。講評を書くとき、思わず、「たまには押入れから出してあげてね。」とコメントしてしまいますが(笑)。
さて、今年もその課題の週が巡ってきました。ある男の子が書き上げた作文を持ってきます。題名を見ると「小さいころから大切にしている人」となっています。長いこと作文の講師をしていますが、こういったケースは初めてでした。早速作文を読んでみると、「ぼくが小さいころから大切にしている人は家族です。」とあります。もうこれだけで感動ものです(笑)。読み進めてみると、お父さん、お母さん、二人のお兄さんがこれまでいかに自分のためにしてくれたことを思い出して綴っているのです。
毎日食事を作ってくれていること、旅行に連れていってくれたこと、野球を教えてくれたこと、病気のときに看病してくれたことなどなど。そんな家族にいかに感謝しているかが切々と記されていました。そして、最後には、自分が大人になったら、家族に恩返しをしたいと……。誤字もあるし、4年生で習っていると思われる漢字もあまり使われていません。主語述語がうまく合っていない文もあります。それでも、いえ、だからこそ、その男の子の思いが十分に伝わってきました。読み手を意識して気持ちに飾りをつけて書いたわけではなく、自分の素直な気持ちをそのまま書いたということがよくわかるからです。
作文には、子供の純粋な気持ちが表れます。そんな子供の気持ちに触れるとき、ほっとすると同時に忘れかけていたものを思い出すことができます。子供の作文から教えられることは、決して少なくないのです。
あなたには、小さいころから大切にしているもの、ありますか?
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