これまでの全記事
文章の三類型――事実文、説明文、意見文  2021年8月9日  No.4306
ホームページの記事は→4306


●動画:https://youtu.be/Bpo33QRysio

 文章には、三つの型があります。
 ひとつは、出来事中心に書いていく事実文で、これは生活作文とも呼ばれているものです。
 学校でよく「遠足の思い出」などという題で書かせる行事作文も、この事実文です。

 事実文には、二つの発展段階があります。
 一つは、事実を時間の流れどおりに書く初歩的な事実文です。
 これは、小学校低中学年のころによく見られる書き方です。
 しかし、高学年になっても、書きたいことが豊富にあるときは、この事実をその流れのままに書く書き方に戻ってしまうことがあります。
 それは、作文というよりも、事実報告文のようなものですが、それはそれでいいのです。

 事実文の次の段階は、事実を立体的に組み合わせて書く書き方です。
 いちばん印象に残った事実から始めて、途中で、その事実が起こる前の話などに戻って、全体を構造的に書いていきます。
 構造的に書くということは、全体の主題が暗黙の前提になっていることですから、事実をその順番どおりに書く書き方とは質的に大きな違いがあります。

 事実文の次の段階は説明文です。
 これは、ある説明しようとする事柄について、複数の実例を使って書く書き方です。
 例えば、「私の好きな勉強」という課題について書く場合、その勉強にまつわる実例を複数書いて、「好きな勉強」という主題を説明するという書き方です。

 説明文の次の段階は意見文です。
 これは、何らかの意見が最初にあり、その意見の裏付けとなる実例や理由を複数書いて、意見を具体的なものにしていくという書き方です。

 事実文を時間の流れの順に書いていくのが小学1、2年生、事実文を立体的に書いていくのが小学3、4年生、説明文を書くのが小学5、6年生、意見文を書くのが中学生で、意見文の扱うテーマがより抽象的、社会的になり論説文という段階になるのが高校生です。

 言葉の森では、この事実文から論説文までの指導をひとつの一貫した流れとして指導しています。
 作文の評価の項目は、構成、題材、表現、主題の四分野にわたっていますが、学年に応じてその重点が異なります。
 例えば、小学校低学年の「構成」は、「中心を決めて書く」ことですが、中学年になると、「似た話、昔の話」を入れて立体的に書くようになります。小学校高学年は、複数の実例になり、中学生になると複数の理由や、複数の意見になり、高校生になると、複数の方法や、原因対策のような形に進んでいきます。

 作文指導は、こういう高校生までの展望を持って進めていく必要があります。
 

233-0015 横浜市港南区日限山4-4-9言葉の森オンラインスクール 電話045-353-9061
 
 同じカテゴリーの記事
同じカテゴリーの記事は、こちらをごらんください。
作文教育(134) 

 コメント欄
コメントフォーム

文章の三類型――事実文、説明文、意見文 森川林 20210809 に対するコメント

▽コメントはここにお書きください。 お名前(ペンネーム):

 フォームに直接書くよりも、別に書いたものをコピーする方が便利です。



受講案内の郵送(無料)をご希望の方は、こちらをごらんください。
(広告規定に基づく表示:受講案内の郵送を希望される方はご住所お名前などの送信が必要です)

電話通信の無料体験学習をご希望の方は、こちらをごらんください。
(無料体験学習をお申し込みの方に、勉強に役立つ小冊子をお送りします。)

Online作文教室 言葉の森 「特定商取引に関する法律」に基づく表示」 「プライバシーポリシー」