社会におけるテストの役割ということから考えると、テストの性格というものが出てきます。つまり、テストは、社会又はその学校が求めている人材を目標にして作られています。だから、テストのための勉強をするには、ただ学力をつけるだけではなく、どういう問題が出るのか、つまりその学校がどういう人を求めているのかをを見なければなりません。これが、過去問を最優先して行う意味です。漠然とした勉強をして、その結果としてテストを受けるというのではなく、テストに合格するための勉強をするというのがテスト勉強では大事なことになります。しかし、この当然のことがわかっていない人が高校3年生でもとても多いのです。(私もそうだったと思うので、あまり言えませんが。^^;)
学校での勉強の多くは、勉強のための勉強になっています。勉強の達成度を定期テストなどで評価するというのが学校内でのテストの目的です。しかし、入試というテストは、そういうテストとは正反対の性格を持っています。学校の定期テストなどは、達成度評価テストです。入試などのテストは、選抜テストです。選抜テストに取り組むためには、その選抜の方向を分析する必要があるのです。
選抜テストが目指しているものを分析することに加えて大事なことは、選抜テストのための技術を有効に使うということです。評価されるのは潜在的な学力ではなく、顕在化された得点力です。選抜テストでは、この生徒は点数は低いが見込みがありそうだから合格させようということはありません。そういう選抜の仕方では、客観性とスピードが保証されないからです。
得点力を高めるためには、真面目な努力だけではなく、得点を上げるための技術が欠かせません。例えば、昔の英単語帳はアルファベット順でした。その後、試験に出る頻度順の英単語帳が出ました。こういう発想の差が技術の差です。志望校によっては、必ず出る分野とまず出ない分野とがはっきり分かれています。それを見極めるのも技術です。今、記憶術が盛んですが、記憶術のノウハウを勉強に使うというのも技術です。
選抜テストに勝つためには、努力だけではなく、作戦や技術が大事です。戦争に勝つためには、個々の戦闘だけではなく、戦略や戦術で勝つことが必要だということです。長篠の戦いでは、個々の戦闘力は武田勝頼軍の方が上だったでしょう。しかし、戦術力で織田信長が勝利しました。太平洋戦争では、日本は個々の戦闘や戦術では当初勝利を収めました。しかし、展望のない戦争に巻き込まれるという大きな戦略面で最初から敗北していたのです。
(つづく)
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