現在の無知と貧困に基づく支配と被支配の関係は、将来大きく変わる可能性があります。
その理由はひとつには、資源やエネルギーの画期的な技術革新によって、貧困が根本的に克服されるような社会が来る可能性があるからです。今はまだ夢物語のように思われかもしれませんが、人間の科学は将来必ず物質やエネルギーを人間の力で生み出すようなレベルにまで到達すると思います。自然界に存在する資源やエネルギーをただ利用するだけでなく、科学の力で資源やエネルギーを創造することができれば、貧困は根本的に解決します。
また、もう一つの理由は、無知もまた将来根本的に克服される可能性があるからです。現在すでにインターネットによって、あらゆる知識が自由に手に入る社会が生まれつつあります。
人間どうしのコミュニケーションは、現在では音声や文字つまり耳や目に頼らなければ成り立ちません。しかし、将来の科学の発達によって、思ったことがそのまま相手に伝わるというような仕組みが考えられるようになると思います。思っただけで相手とコミュニケーションが取れるような技術が開発されれば、知識による差はほとんどなくなります。
この無知と貧困の克服は、科学の方向からだけではなく、人類の進化という方向から考えることもできるでしょう。しかし、そのような話になると空想の域を出ないので、やはり科学の力で根本的に無知と貧困が解決されやがて支配と被支配の関係がなくなる社会が来ると考えるのが現実的な展望になると思います。
科学の進歩は現在ますます加速しているので、ここに述べたようなことが決して遠い先の話ではなくかなり早い時期に実現するのではないかと私は考えています。
そう考えるとますます、勉強の目的は、未来の自由な社会に対応した自己の向上ということになってくるのではないかと思うのです。
(おわり)
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