うちの子供が1歳か2歳のとき、三浦半島の海岸に遊びに連れていきました。
裸ん坊で、波打ち際で遊んでいる子供を見たときに、ふと、いまこのとき、地球が暗黒の宇宙の中を時速10万kmで飛び、地球自身も時速1700kmで自転しているのだということを思い浮かべました。
その地球の上で、ころべばすぐに怪我をするような子供が、砂浜で嬉しそうに遊んでいるのです。
そのときに、自分が地球の上に生きているという不思議さを実感しました。
今日、天気がいいので、庭の芝生の上に寝転んで空を見ていると、そのときの感覚を思い出しました。
そこで、ふと出た言葉が、「地球はいいなあ」でした。
隣の餌台では、メジロがみかんをついばんでいます。
雲が、西から東にゆっくり動いています。
人間が地球の上で暮らせるのは、お金では買えないほど貴重な恩恵です。
だから、せめて同じ地球の生き物たちには、できるだけ優しくしよう、
それが、たとえゴキブリであっても(笑)、
と思ったのです。
子供のころ読んだ本の中に、ひとつの物語がありました。
ある大きな村で、何かの裁判が行われるとき、みんなが黒と白の石を入れて有罪か無罪かを決めるのです。
そこで、ひとりの老人だけが、どんなときでも必ず白を入れるというのでした。
そのときに、「どんなときでも白」というのが、心に残りました。
中村天風の言葉に、こういうものがあります。
「太陽の光線は、美人の顔も照らせば、犬の糞も照らしている」
そりゃ、そうだ(笑)。
比較をしたり、評価をしたり、優劣をつけたりするのは、人間の小賢しい知恵です。
それによって、確かに科学と文明は発展してきたでしょう。
しかし、そういう人為的な工夫から卒業する時期がもう来ているのです。