ヒメヒオウギズイセン
子供たちの読書記録を見ていて、少し気になるのは、「5分後にどうなった」のような短編が集まった本を好む子が多いことです。
もちろん、短編でもいいのです。
芥川龍之介の短編集は、読んだあとも印象に残ります。
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ただ、そういう短編の文章だけ読んでいるのでは、ものたりないと思うのが普通です。
椎名誠さんは、活字中毒で、小さい活字でびっしり書いてある文章を見るとうれしくなったそうです。
私も、昔読んでいた新聞で、1面だけでなく2面も、場合によっては3面も活字だけが書いてある記事を見ると、「わあ、得した」と思ったものでした。
しかし、今はそういう人はまずいません。
短い文章でわかりやすく書かれていたり、途中で挿絵が入ったりしていないと、読む気が起きない人が多いのです。
本は、もともとの原典を1冊読み切ることが大事です。
「○分間で読める○○」のような本をいくら読んでも、身につくのは雑学的な知識だけです。
難しい本であっても、1冊を最後まで読み切ると、その本で自分が何を得たかがわかります。
それは、その本がわかるということよりも、そこから自分が何を得たかということがわかるということです。
そういう自分なりにわかったことが、その人の蓄積になります。
それは、雑学の知識の蓄積とは違うものです。
だから、中学生や高校生の人は、いい本を読む時間を作ってください。
そして、大学生になったら、原典をしっかり読んでください。
そういう本を読めるのは、20代で、たぶん20代の前半までです。
読書が大事だということを言う人はあまりいません。
お父さんも、お母さんも、学校の先生も、成績がどうしたということしか、たぶん言いません。
しかし、あとに残るのは、今やっている勉強ではありません。
残るのは、自分の読んだ本と、自分のした体験だけです。
だから、あえて、読書が大事だということを書きました。