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AI時代の教育は、積み上げ型から山頂型へ。学校は知識を蓄積する場ではなく、創造し発表する場に  2024年10月16日  No.5196
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● AI技術の進化と教育の変化

 AI技術の発達によって、これからの教育は大きく変わっていきます。
 従来の教育は、知識や記憶を積み重ねていく「積み上げ型」が主流でしたが、これからは「創造」と「発表」を重視する「山頂型」へと移行していくと考えられます。
 積み上げ型の教育は、学んだ内容が次のステップの基礎となる一方で、学習の成果が見えにくく、達成感を得づらいという課題がありました。
 しかし、AIの導入によって、教育のゴールを先に設定し、その後に必要な学びを補うという新しい学習の形が可能になります。

● 各教科と積み上げ型学習の課題

 積み上げ型の学びの代表的な教科として、算数・数学やプログラミングが挙げられます。
 これらの科目は、基礎の積み重ねが大切ですが、その一方で、特に初期段階の学習が退屈であることも事実です。
 算数や数学は四則計算のような基礎から順に学ぶカリキュラムが整備されているため、学習の初期段階で行き詰まることは少ないですが、プログラミングでは学習の進め方がまだ確立されていない部分もあります。
 たとえば、ビジュアルプログラミングのScratchから、コードを書くJavaScriptに移行する際に、多くの学習者がつまずいてしまうことがあります。

 英語は積み上げ型の側面を持ちながらも、生活の中で使う「手段」としての性格が強いため、将来的にはAIによる通訳や翻訳などのツールがこの役割を代替する可能性があります。

 理科や社会科は、理解することで学びが完結するため、読書のように知識を吸収する科目と考えられます。

 国語、つまり日本語の学習は、単なる知識ではなく、考える力や表現力を育む重要な教育であり、今後の学びの中心になると考えられます。


● AIによる学習スタイルの転換

 従来の積み上げ型学習では、新しい知識を積み重ねても、なかなか目に見える成果を感じられないことが多くあります。
 しかし、AIを活用することで、このような学びを「山頂型」に切り替え、まずは結果を出すことを優先し、その後で理由を学ぶという流れが実現可能になります。
 学習途中でわからないことがあっても、AIに質問すれば解決でき、積み上げ型の学びに戻る必要はありません。
 必要なときだけAIに頼り、より深く知りたい部分だけを掘り下げて学べば十分です。

 このように、学習が山頂型に変わることで、教える先生や教科書、そして学校という「教える場」の存在意義が再考されるかもしれません。
 AIを活用して、自学自習を進めることができれば、子供たちは自分のペースで学び、知識を活用する力を伸ばせます。
 そして、学校は学ぶ場というよりも、創造したものを発表する場としての役割を果たすようになるでしょう。

● 反転学習の本格的な普及と創造的学習への移行

 この新しい学びのスタイルは、かつて「反転学習」と呼ばれていたものの進化版ともいえます。
 反転学習とは、授業で教えるのではなく、自宅で学び、学校ではその学びを深めたり発表したりする形の学習法です。
 AIを利用することで、この反転学習はより意味のあるものとなり、子供たちは創造と発表を重視した勉強に取り組めるようになります。

 ただし、多くの子供たちや学校がこの変化についていけていないのが現状です。
 現在、中学生たちの学びの多くは、宿題をこなし、テストで良い成績を取るためのものであり、そのために時間をいかに効率的に使うかが求められています。
 私自身も、かつて「1分1秒でも惜しい」と感じながら勉強に励んでいた記憶がありますが、それが知識と記憶の積み上げに基づく勉強だったからだと、今になってわかります。

 本当の勉強は、何時間も何日もかけて考えるものです。

 AIを活用した新しい学びのスタイルは、子供たちが創造的に考え、自分の考えを表現し、それを発表するものになります。
 これからの教育では、知識を蓄えるだけでなく、考える力を伸ばし、創造力を育むことが求められるようになります。

● 未来の教育と学びの姿

 AI技術を活用した教育の進化により、これからの子供たちの勉強は、知識や記憶のためだけのものではなく、創造と発表のための学びへと変わっていくでしょう。
 自学自習のスタイルを確立し、AIにサポートを受けながら、自分のペースで学びを進めることが当たり前の時代が来るでしょう。

 そして、学校は知識を教える場所ではなく、創造と発表の場へと変わり、子供たちは自らの考えやアイデアを発信する経験を積むようになるでしょう。

 こうした変化が、これからの新しい教育のスタンダードとなっていくと思います。

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