9月4週の清書について、学年別の森リン大賞が決まりました。
その中から、代表的なものをいくつかを紹介します。
9月の森リン大賞と上位入賞者(中3の部43人中)
日本の味を生かして
マロン
行き過ぎた外来語というものが身近にあふれている。私は日本の味のある言葉が好きだ。彼岸花や欄などの花の名前だけではない。浅葱色や青竹色などの色の名前、葉月、長月のような月の名前。こうした言葉は日本人特有で、ずっと守ってゆきたいものである。しかし、コンピューターの普及によって、カタカナ語が増えている。カタカナ語のほうが良い言葉や表現もあるが、私は日本的なものを見つめなおしたい。
そのための第一の方法としては、身近な日本独自のものを楽しむ、ということがあげられる。たとえば自然。お花見やお月見は風流である。昔の人は桜の咲いてはすぐに散ってしまう様子や儚さ、月の変化を楽しんだ。木目が細かい日本人の感性から、こうした行事が生まれたのだと思う。忙しい日々を送る現代人も、たまにはこうした味わい深い行事を楽しむことが必要である。
自然だけでなく、日本人の昔からの慣わし、文化も身近なところで楽しむことができる。お祭りなどがその一つである。私は地元が浅草であったため、伝統的なお祭りを沢山体験することができた。私が最も好きだったのは、三社祭。私はただお神輿をかつぐだけでなく、江戸時代からあるお囃子を習ったり、このお祭りのはじまりとなった飛鳥時代の歴史を学んだりした。浅草の人たちは皆、自分の町の歴史や文化に誇りを持っているし、お祭りを毎年楽しんでいる。大きな行事がなくても、一つ一つの町や地方にはそれぞれの文化があるはずである。それらを大事にできたらよいと思う。
第二の方法としては、自国の文化を理解することを教育の基礎におくことがあげられる。かつて日本は洋風化することが一番だと考え、西欧の文明に追いつこうとしてきた。その結果日本の文化は発展した。しかし今、日本は背伸びをしすぎているような気がする。日本人には、新しいものや外国についての知識ばかりで、自分の国のことをよく知らない人が多い。
私の学校では、高校生になるとカナダへ海外研修に行く。その話を先輩から聞いてみた。カナダではホームステイなので、先輩は現地の家族に日本のお土産を持って行ったらしい。東京の名物や和菓子を渡すと皆喜んでくれたのだそうだ。肉じゃがなどの日本料理を作ったり、江戸時代の歴史の話、歌舞伎、侍の話も喜ばれた、とも話してくれた。海外では、英語をうまく話すことよりも、自国に誇りを持ち、いろいろなことをよく知っていることのほうが大切なのだ。自らの文化のすばらしさを体験し、よく味わい、守ってからはじめて、他のものを取り入れることが許されるのだと思う。
たしかに、「日本」という殻の中に閉じこもってばかりでは、他国に遅れをとってしまうし、成長も止まってしまうだろう。良いものを吸収して変化していくことも大切である。しかし、私達の原点である日本的なものの良さを充分に理解してから、全ては始まるのではないだろうか。私は、「大切なのは、健康らしい外見ではなく、健康自身である」という言葉を忘れずにいたい。そして、味のある日本文化、日本の味を生かして、新しい発展を皆で考えて行きたい。日本には日本の良さがあるのだから。
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