10分間読書という方法があります。わずか10分間ですが、毎日読んでいると次第に読書の面白さに目覚めて、ちょっとした空き時間があるときにも続きを読みたくなります。そして、全体的に読書量の多い生活になっていきます。
小学生の場合、短時間の勉強のきっかけにには、親や先生の働きかけが必要です。「本を1冊読みなさい」という大きな目標ではなく、「10分間読みなさい」という小さな目標であれば、ちょっとした声かけですぐにできるようになります。この小さなきっかけが大事なのです。
ところで、小学生には、親や先生の声かけが可能ですが、中学生や高校生は、自分の力で勉強しなければなりません。自分で自分にきっかけを与えるのにもコツがあります。
人間は、気持ちはいくらでも変えられますが、自分の身体を動かすことがなかなかできません。意識には重さがありませんが、身体には重量があるので、何かの作業を行おうとすると慣性の法則が出てきます。休んでいる状態から勉強する状態に切り替えるときは、この慣性の法則をうまく利用する必要があります。
そのための方法が小さな反復法です。まず、やらなければならない重い勉強があったとします。そのときに、自分のいちばん好きなことを思い浮かべます。そして、やらなければならない勉強に5分取り組んだら、自分のいちばん好きなことを5分します。タイマーで計っておき、切り替えは自動的に行うようにします。どんなに面倒なことでも5分だけならできるものです。その5分で、まず机の上を整理するだけで終わってもかまいません。
自分の好きなことを5分したら、次にまた、やらなければならないことを5分間します。今度の5分は、本を並べるだけで終わってもかまいません。また次の5分で、自分のいちばん好きなことをして、また、次の5分でやらなければならないことをします。このように、何度か5分で切り替えているうちに、やがて、やらなければならないことをしているときに全然抵抗がなくなっているのに気がつきます。そうしたら、そのままそれを続けていけばいいのです。
作文を書くという勉強は、開始するときに大きな精神的エネルギーを必要とします。これが、問題集を解くような勉強に比べて、作文の勉強を難しくしているいちばん大きな要因です。また、長い時間をとる勉強に比べて、毎日の暗唱や音読の自習のようなわずか10分の勉強は、始めるときの気持ちのエネルギーは同じですから、かえって取り組みにくいという面があります。
中学生や高校生のみなさんは、小さな反復法を使って、作文や暗唱のような取り組みにくい勉強をうまくコントロールしていってください。
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