言葉の森の勉強の目標は、子供たちの個性、知性、感性を育てることです。
個性とは、創造性と言い換えてもいいでしょう。
知性とは、思考力と言い換えることもできます。それは、知識を自分の考えに構成することのできる力です。
感性とは、感受性と言い換えることもできます。しかし、感受性とは何でしょうか。
感受性は一般に、美しいものに対して感動する力と考えられています。例えば、忠犬ハチ公が主人の帰りを待っている姿を見ると、多くの人は心の中にじんと来るものを感じます。しかし、それは、白い犬の姿が美しいからではありません。その待っている姿が美しいからです。つまり、信じることや耐えることという抽象的なものに対する感動が、感受性です。感受性とは、美に対する感受性というよりも、物事の中に美を見出すことのできる感受性だと言えます。
明治37年(1904年)の尋常小学校2年生の修身書(修身の教科書)に、次のような文章があります。
だい十九 ひろいもの
まさおが、ひろったかねを、おとしたこどもにかえしています。
ひろいものを、じぶんのものにしてはなりません。
だい二十 いきもの
まさおのいもうとが、ねこをいじめているのを、まさおがみつけてとめています。
いきものをいじめてはなりません。
日本では、物を落としても、拾った人が届けてくれるという文化があります。また、生き物をかわいがるという文化があります。
しかし、それは決して日本人のDNAにある先天的なものではありません。この修身の教科書に見られるように、先人たちのたゆみない努力の中で形成されてきたものです。
感受性もまた、そういう教育の中で育まれていくものだと思います。
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