「やっぱりおまえはバカじゃない」(吉野敬介著 小学館文庫)を読みました。著者の吉野氏は、中学、高校と暴走族で、勉強とは縁のない生活をしていました。
そんな吉野氏が大学受験を決心したのが、受験の4ヶ月前で、当時の成績は、英語、国語、日本史の偏差値の合計が80、つまり1教科平均25ぐらいだったそうです。
しかし、その4ヶ月間、吉野氏は文字どおり朝から晩まで勉強し、英語の勉強は間に合わなかったものの、国語(現代文、古文、漢文)と日本史では、かなり力をつけ、直前の模試では国語は偏差値86以上という状態になりました。そして、国学院大学をはじめ、立教大、明治大、法政大とたてつづけに合格したのです。
この本を読んで、三つの点で考えるところがありました。
第一に、現代文の勉強は、やはり読むことに尽きるということです。吉野氏は、入試問題に出てくるような本や社説を読むことによって、現代文の力をつけました。読む力さえつけば、解き方のテクニックなどはすぐに身につくということです。
第二に、吉野氏の力の源泉が、4ヶ月のがんばりだけではなく、小学校時代までの読書にあったのではないかということです。吉野氏は、小学校時代は、本をよく読んでいたので、国語の成績だけは勉強をしないでもよかったと書いています。
勉強には、いざというときのがんばりが大事ですが、その土台となる知力を育てているものは読書です。もし、吉野氏に読書力がなく、ただ計算や漢字が得意なだけだったら、この短期間のがんばりはできなかったと思います。
第三は、現在の学校には、吉野氏のように、中学、高校と勉強をしていない生徒がかなりいるのではないかということです。これは、個人の問題ではなく、日本の国家の問題だと思います。
学校はそれなりにそういう子供たちの教育に力を入れていると思いますが、基本的には点数をつけて評価する機関です。塾や予備校も、良心的に指導をしていると思いますが、やはり基本的に点数をつける機関です。と考えると、これはやはり家庭の問題なのです。
家庭で勉強する習慣のある子とない子の差が、実は勉強力の決定的な差になっています。ですから、これからの勉強は、教室で先生が行うものではなく、家庭で親が責任を持って子供の自主学習を見守る、その方法を公的な機関がアドバイスをするようなものになっていくと思います。
全国学力テストで高得点をとった秋田県では、学校と家庭が子供の教育について連携しているという特徴があります。
これからの教育は、学校でも塾でもなく、また単純に家庭でもなく、家庭での学習を「新しい学校」が支えるというようなものになっていくと思います。
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