赤身代表といえばマグロです。少し歯ごたえがあり、おすしの中ではなかなかの人気者です。一方白身代表といえばヒラメがあげられます。口の中でとろけるようになくなってしまうこの身は、大人の人に人気があります。どちらもおいしさにかわりはありませんが、同じ魚なのに、赤身と白身が存在するのはなぜでしょう。それは赤身と白身にはそれぞれ働きがあり、得意とする力が違うからです。
マグロの体は、赤色筋、遅筋とよばれる赤い筋肉が多くふくまれています。マグロは、赤色筋が多い血合筋とよばれる筋肉が特に発達しているので、酸素を使って活動を長く続けることができます。陸地から遠く離れた広い外洋域を泳ぐマグロには、同じ力を長く持たせてくれる赤身が必要なのです。赤身の魚にはカジキやカツオ、サバなどがあり、どの魚も筋肉もりもりといった力強さを感じさせます。
一方、ヒラメを代表とする白身は、瞬発力があります。ヒラメの体には、白色筋、速筋とよばれる白い筋肉が多くふくまれています。白色筋を動かすには、グリコーゲンとよばれる糖だけを使い、酸素を使いません。ですから、瞬間的に大きな力を出すことはできますが、すぐに乳酸という物質がたまり疲れてしまいます。ヒラメは、敵が近づくと、目だけをグルグルっと動かし身をひるがえして逃げます。それは一瞬の出来事で、敵は砂けむりの中、ヒラメの姿を見失います。瞬発力が命のヒラメにとって、この華麗なダンスは命がけの逃げ方なのです。
人間の筋肉にも、赤身と白身があります。筋肉の場所や役目によって割合がちがい、個人差があるようです。マラソン選手は赤色筋が多く、短距離走の選手は白色筋が多いと言われています。
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