a 読解マラソン集 9番 詰め物だったシロツメクサ ki3
 シロツメクサは、日本人にとても愛さあい れている草花のひとつです。天気のいい休日になると、シロツメクサが生えている場所ばしょで、シートを広げひろ てお弁当べんとう食べるた  家族連れかぞくづ 姿すがたを見ることができます。シロツメクサの上は、ふんわりしていて座りすわ 心地ごこちがよいのです。お弁当べんとうのあとには、子どもたちは花を編んあ でかわいいかんむりにしたり、くきをからませて両側りょうがわから引っ張るひ ぱ 草相撲くさずもうをしたりして遊ぶあそ こともできます。
 わたしたちになじみの深いふか シロツメクサですが、実はじつ もともとは日本ではなく、ヨーロッパが原産げんさん植物しょくぶつです。江戸えど時代じだい、ヨーロッパのガラス製品せいひん大変たいへん貴重きちょうひんでした。遠くとお ヨーロッパからふねでガラス製品せいひん運んはこ でくるとき、ふねがゆれてガラスが割れわ てしまわないようにはこの中につめものとして入れられたものが、このシロツメクサなのです。つめものの草だからツメクサという名前なまえがつきました。
 シロツメクサは生命せいめい力の強いつよ 植物しょくぶつなので、つめものとして日本にやってきて役目やくめ終えお たあと、ゴミとして捨てす られた場所ばしょ再びふたた いき吹き返しふ かえ 次第にしだい 日本中に広がっひろ  ていきました。いまでは北海道ほっかいどうから沖縄おきなわまで、日本全国ぜんこくで見られるようになっています。シロツメクサのように外国がいこく原産げんさんで、何らかのなん   理由りゆうで日本に定着ていちゃくした植物しょくぶつのことを帰化きか植物しょくぶつ言いい ます。セイヨウタンポポやヒメジョオンなども帰化きか植物しょくぶつとして有名ゆうめいです。
 ところで、このシロツメクサの英語えいご名はクローバーですが、クローバーといえば、四つのクローバーが幸運こううんのシンボルであることはよく知らし れています。しかし、四つを見つけようと思っおも ても、クローバかり多くおお てなかなか見つからないことがほとんどです。ところが、世の中よ なかには、五つや六つのクローバーもあるのです。いままでに見つかった最高さいこう記録きろくはなんと十八まい。これは日本で発見はっけんされ、ギネスブックにも載りの ました。十八まいのクローバーなんて見つけたら、びっくりして白目をむいて倒れたお てしまいそうです。これぞまさにシロ(ツ)メクサ!  言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(Ν)
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a 読解マラソン集 10番 塩の働き ki3
 「青菜あおなしお」ということわざは、ほうれん草などの青いしおをかけるときゅうにしおれてしまうことから、人がきゅう元気げんきがなくなってしょんぼりする様子ようすをたとえることわざになりました。
 フライパンで青菜あおな炒めいた ているところを見ると、こぼれんばかりに山盛りやまも になった青菜あおながさっと小さくなってしまいます。
 さて、この「青菜あおなしお」の魔法まほうはどうして起こるお  のでしょうか。野菜やさいは、人間にんげん同じおな ようにたくさんの細胞さいぼう集まっあつ  てできています。ひとつひとつの細胞さいぼう包んつつ でいる細胞さいぼうまくは、水もしお通すとお ようになっています。生きている細胞さいぼうまくであれば、細胞さいぼうの中に入ったしおをうまく細胞さいぼうそと排出はいしゅつする機能きのう持っも ています。しかし、死んし 細胞さいぼう場合ばあいしお細胞さいぼうないしみ込ん  こ だままになります。その一方いっぽうで、細胞さいぼうからは水が出ていくので、青菜あおなのカサがへってしまうのです。この脱水だっすい作用さようをうまく利用りようしたものが漬物つけもので、漬物つけものにされた野菜やさいは、もとの大きさよりはるかにしおれて縮んちぢ でいます。
 わたしたち人間にんげん健康けんこうに生きていくためにも、塩分えんぶんのバランスは大切たいせつです。からだ細胞さいぼうとそれをつつむ液体えきたい塩分えんぶん濃度のうどは、腎臓じんぞう働きはたら 常につね 一定いってい保たたも れています。細胞さいぼううちそと圧力あつりょく均衡きんこうしているために、細胞さいぼう同じおな かたち保つたも ことができます。塩辛いしおから ものを食べた たあと、のどが渇いかわ てくるのもそのためです。また、なつ暑いあつ 日に、熱射病ねっしゃびょうにならないために水分すいぶん塩分えんぶんをとるように注意ちゅういするのも同じおな 理由りゆうからです。

漬物つけものさんには、しお必要ひつようなんですね。」
「シオうだよ。」
「ちょっと苦しいくる  ですね。」
「エーン。」
 ブーン。
飛んと でいっちゃった。)

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a 読解マラソン集 11番 カエルの秘密 ki3
 カエルは両生類りょうせいるいですから、陸上りくじょう生活せいかつにも水中の生活せいかつにも、どちらにも都合つごうのよいからだのつくりをしています。
 まず、からだ全体ぜんたいを見てみましょう。先のとがったあたまくびがなくあたまがそのままからだにつながったかたちは、水を切っき 泳ぐおよ のに大変たいへん便利べんりです。
 うしろ足は、ゆびゆびのあいだに薄いうす まくがある水かきになっていて、水をいきおいよく蹴るけ ことができます。しかし、水かきが小さく、泳ぐおよ のがへたなカエルもいます。それは、ヒキガエルで、たまごをうむときのほかには、ほとんど水に入りません。また、アマガエルやモリアオガエルは、指先ゆびさきなににでも吸いす つく吸盤きゅうばんがついていて、木のえだ登っのぼ 暮らしく  ます。
 カエルのうしろ足のももは、丈夫じょうぶ筋肉きんにくがはりめぐらされていて、水や地面じめん強くつよ 蹴るけ ことができます。アメリカのカリフォルニアでは、毎年まいとし世界中せかいじゅうからカエルを集めあつ て、カエルとび大会たいかいがひらかれます。ウシガエルは三段跳びさんだんと のチャンピオンで、これまでに五メートルという記録きろくがのこっています。これはからだながさのやく二十五ばいです。人間にんげんは、オリンピックの選手せんしゅでもせいぜい身長しんちょうやくばいですから、大変たいへん跳躍ちょうやく力です。
 カエルは夜行やこうせい動物どうぶつです。ひるあなの中や茂みしげ 隠れかく ていて、よるになると活発かっぱつ動きうご まわります。その暮らしく  合うあ ように、ひるひとみ絞りしぼ こんでひかりをおさえ、よるは、少しすこ ひかりでもものが見えるようにひとみ全部ぜんぶ開きひら ます。
 目の構造こうぞう変わっか  ています。人間にんげんとは反対はんたいに目の下まぶたが動きうご ます。りくにいるとき、下まぶたは下がったままですが、水の中に潜るもぐ と、さっと下まぶたが上に動いうご て目を覆っおお てしまいます。下まぶたが透明とうめいですから、ちょうど備えつけそな   の水中メガネのようです。
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 カエルには、このほかにも変わっか  種類しゅるいがいます。
 ヒックリカエル、デングリガエル、イキカエル、ツッカエル、ソリカエル、キガエル、ハキカエル、トッカエル。それでは、そろそろ、モウカエル。

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(Κ)
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a 読解マラソン集 12番 のんびり泳ぐマンボウ ki3
 マンボウの大きさは、だいたいたたみまいほどもあり、からだ後ろうし 半分はんぶん切り取らき と れたようなかたちをしているため、まるであたまだけが泳いおよ でいるように見えます。
 人気のあるマンボウですが、実はじつ 水族館すいぞくかんでの飼育しいくはたいへん難しいむずか  のです。その理由りゆうは、えさをうまく食べた られないことや、泳ぎおよ が下手で水槽すいそうかべからだをぶつけて弱っよわ てしまうことが多いおお ためです。
 さかな仲間なかま驚くおどろ ほどたまごをたくさん産みう ます。その中でもナンバーワンはマンボウで、メスが一産むう たまごかずは、三おく近くちか にもなります。
 マンボウのお母さん かあ  は、たまご産みう っぱなしで、保護ほごするということをしません。たまご孵化ふかしたマンボウの子どもは、海中かいちゅう漂っただよ ているあいだに、どんどんほかの生き物い もの食べた られてしまいます。最初さいしょのごく小さいうちは、イワシやサンマ、アジなどのえじきになり、少しすこ 大きくなったマンボウの子どもは、マグロやカツオ、海鳥うみどり、ウミガメなどに襲わおそ れてしまいます。
 けれども、マンボウの子どもたちも、ただなん抵抗ていこうもせずに食べた られているわけはありません。子どものマンボウのからだには長いなが とげがたくさんあります。まるでお菓子 かしのコンペイトウのようで、大人のマンボウとはても似つかに  ないかたちです。大きなさかなに対して たい  は、この程度ていどのとげはなんのやくにも立ちませんが、小型こがたさかな食べた られる確率かくりつは小さくなります。このとげは、成長せいちょうするにつれて短くみじか なり、マンボウ独特どくとくかたち変わっか  ていきます。
 マンボウの兄弟きょうだいたちは、大人になるまでにどんどんかず減っへ ていきます。生き残るい のこ ことができるのは、三おくもあったたまごのうち、たったの三十ほどです。

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「マンボウさん、のんびりしていますね。」
「ヒマンボウ。」
「えさは、吸い込むす こ だけですか。」
「カマンボウ。」
「いつもうみ浮いう ているだけですね。」
「シズマンボウ。」
「もっとべつのセリフ、ないですか。」
「スマンボウ。」

 言葉ことばの森長文ちょうぶん作成さくせい委員いいんかい(κ)
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