高いところから飛び降りるとき、地面に着地する瞬間に、ひざを曲げてやわらかく地面に着くようにします。もし、ひざをまっすぐに伸ばしたまま着地をしたら、ひざを痛めてしまいます。同じ高さから飛び降りているのに、どうして衝撃が違うのでしょうか。
その秘密は、力というものの性質にあります。力は、重さと速さをかけたもので、「力」=「重さ」×「速さ」ということになります。例えば、あなたが走っていって、おすもうさんとぶつかるのと、一年生のけんちゃんとぶつかるのと、どちらが衝撃が強いでしょうか。おすもうさんの方が重いので、あなたははねとばされてしまうでしょう。ただし、一年生のけんちゃんが実はゾウの一年生だったとしたら、あなたはけんちゃんにもはねとばされてしまうかもしれません。このように、重いものは大きな力を持っているのです。
では、速さはどうでしょう。野球をしているとき、バットを思いっきり振ってうまく当たったのでホームランになったとします。同じ場面で、バットをスローモーション撮影のようにゆっくり振っていたらどうでしょう。どんなにうまく当たっても、ゴロにしかなりません。同じ重さでも、スピードを出しているときの方が力があるのです。
着地するときにひざを曲げるのは、ちょうどこのスローモーション撮影をしていることと同じです。足の裏が地面に着く瞬間が、ほんの少しゆっくりになるのです。その差は例えば、〇・一秒で着地するところが〇・二秒で着地することになっただけかもしれません。しかし、それでも力は二分の一に減ってしまうのです。
この原理はいろいろなところに応用できます。けん玉をするとき、玉をお皿に乗せる瞬間にちょっとひざを曲げます。すると、玉がお皿に着地する時間がほんの少しゆっくりになるので、玉はとても入れやすくなります。こんなふうにして、玉がうまく入るようになったらたまりませんね。
言葉の森長文作成委員会(Σ)
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