巣穴の中が、どのようになっているのか知りたくて、調査したことがあります。帰る巣穴がなくなってしまって、かわいそうだったのですが、巣穴の中に石こうを流しこんで形を調べました。
巣穴は単純な形で、途中で枝分かれしているようなことはありません。
巣穴の出入り口は一つで、その部分がいちばん細くて、断面が丸くなっています。出入り口の部分が、とくに波の影響をうけやすいわけですから、出入り口は小さいほうがこわれにくいのでしょう。
巣穴のまん中あたりが、少し太くなって、ゆるやかにまがっています。満ち潮のとき、カニが休むのは、この場所です。
オスとメスで、巣穴の形にちがいはありませんが、カニの大きさによって、巣穴の深さがちがいます。浅くて十センチ、深くて二十センチくらいなのですが、深さが五十センチをこえる例もあります。もっとも深い記録は、九十五センチです。
シオマネキは、横向きに巣穴に入っているので、もちろん、下側のあしを使って穴を深くほってゆきます。少しほると、砂と泥をあしで丸めて、出口までかかえあげ、そして、巣穴の外にすてます。
カニの甲羅の幅は二センチくらいのものなので、五十センチをこえる深さまで穴をほるのは、さぞかし、たいへんな重労働だろうと思います。
カニの大きさと巣穴の深さを、単純に人間におきかえて考えると、人間が自分の手で深さ四十メートルくらいの穴をほるのと同じですから、確かに重労働だといえます。
シオマネキは、昼間に活動するカニです。夜は目がみえないのかどうかわかりませんが、とにかく、夜間に潮が引いても、巣穴から出てきません。昼間は、潮が引いて、日がさしていれば、ほとんどのカニが出てきます。
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