私たちは、生活の場が森林から離れてしまっているので、森林が破壊されると毎日の生活をいかに変え、いかに住民を苦しめているかを理解するのはむずかしいでしょう。多くの国でその森林のなくなったことが、エネルギー危機となって現われています。といっても、先進国の石油危機ではなく、まきや炭の不足です。
国連の調査によると、世界人口の半数がエネルギーをまきや炭に頼っています。世界で切られる木材の半分は、燃料にされています。ところが、村の周辺の木を切りつくして遠くまでまき集めに出かけねばならず、アジア諸国や、アフリカの乾燥地帯では、まき集めはふつう、週三回も一日がかりで出かける重労働になっています。
同じ調査によると、世界で約十一億五○○○万人がまきや炭の不足に悩まされています。紀元二○○○年には、これが二四億人にも増加すると予測しています。まきが手にはいらなくなった人びとは、家畜のフンを乾燥させて燃料に使います。肥料として畑に戻すべきフンを燃やすので、いよいよ田畑は荒れてしまいます。
森林がこれだけ急激に広い範囲で減ってしまうと、気象が変わってしまうのでは、と心配されています。アマゾンでの調査によると、熱帯雨林では降った雨の四分の三までが樹木に吸収され、残り四分の一がジャングル内の川に流れこみます。樹木に吸収された水分は、また蒸発して雨となって降ってきます。森林と大気との間で、水の「キャッチボール」をしているようなものです。このような気候では、森林の破壊でキャッチャーがいなくなると、雨が大幅に減って気候がいっぺんに乾燥化してしまいます。
樹木は切られると、三重の意味で二酸化炭素を増やすことにつながります。それは1.二酸化炭素を吸収するものが少なくなる、2.切られた木は、木材になっても紙になっても、いずれ燃やされるか、くさって二酸化炭素を出し、3.森林の土の中にたまってい
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