本当にしかしこの三人組はそれからも間断なくいろんなことをやってくれた。近所の養鶏所の病気や体の弱った鶏だけを入れておく囲いをあけ、二十数羽の鶏を道路へそっくり逃げ出させてしまった時は私が仕事で出張中で、妻と健二郎君の母親が必死になって鶏を回収して歩いたらしい。
この時は養鶏所の入り口の囲いを修理しているさなかだったので、まあこれは仕方がありませんよ、といかにも人のいい老経営者が言ってくれたので、それ以上の騒動にはならなかったという話だった。
イタズラは三人のうちの誰が首謀者ということでもなく、三人集まるとごくごく自然にそういう面白い「仕事」を発見してしまうようであった。
そうして彼らがまきおこしてくれた次の一件はサツマイモ騒動というものであった。(中略)
仕事をすませて帰ってくるともう夕方近くになっていた。私の妻はその日職場の保母の研修会があるとかで、夕食は私がつくる約束になっていた。私鉄駅の近くのマーケットで肉と野菜を買い、ビールが切れているのを思い出して缶ビールも半ダースほど買った。そうして急いで家に帰ってくると、どうしたわけなのか家の門の前にさつま芋が山のように積まれていたのだ。その芋はいずれも土まみれでまさにそっくり全部いましがた掘りおこしてきたばかりです、という状態であった。
「はて、これはどうしたのだろう?」と首をかしげているうちに、例の三人組が裏庭からどんどん飛び出してきた。みるとまたもや三人揃って泥だらけになっている。
「あのね、これね、今日みんなで取ってきたんだ」
と岳が私の前ですこしそりかえり、自慢げに言った。
「三人で力をあわせたんだ」
と、健二郎君がすっかりとは舌の回らないキンキン声で言った。
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