じつは地球にふんだんにある空気は、地球にもともとあったものではないのです。また雨や川や海という大量の水もありませんでした。これらがどうして地球にあるようになったのかは、しばらく前までは謎でした。
一つの説は、宇宙空間にあるガスが地球の引力に捕まって地球の空気になったというものでした。空気のような軽いものにも引力ははたらきます。薄いながら宇宙空間にガスはあるので、これはいちばんありそうな説でした。しかし宇宙空間のガスの成分を調べると地球の空気とはまったくちがうもので、これではいまの空気の説明はつきません。
宇宙空間からのものではなかったら、地球の空気はどこからきたのでしょうか。それは地球のなかから出てきたものにちがいありません。
火山が原因だという説もありました。いま現在地球のなかから出てきているガスとしては、火山からのガスがあります。火山からはガスも水蒸気も大量に出てきています。成分からいえば、火山ガスは空気と似ています。だから地球の空気も水もすべて火山から出てきたにちがいないという説があったのです。
しかし、この説には難点がありました。それはガスが出てきた時間の長さでした。もし火山から地球のすべての空気や水が出てきたとしたら、火山は何十億年もの長いあいだかかって少しずつ地球の空気と水をつくっていったはずなのです。なぜなら地球上で火山がある場所はごくかぎられていますし、火山の数もそれほど多くはありません。だから地球上のすべての空気と水が火山から出てくることは、あまりに大量すぎて短いあいだには不可能だったのです。
地球で見つかった約四十億年も前の岩を調べてみると、もともとあった岩が粉々に砕かれて海の底に積み重なって、さらにそれが熱や圧力で変化した変成岩という岩でした。四十億年以上も昔に海があったのです。それゆえ少しずつ火山からガスや水が出てきたのでは説明がつかなくなってしまうのです。
火山が起源だという説はこうして消え、結局、地球が生まれてから二、三億年以内というごくはじめのころから大量のガスと水蒸気
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