アライグマは、なんでも
洗ってしまう
動物です。
食べ物であろうとなかろうと、
身のまわりにあるどんなものも、
前足を
器用に
使って、ざぶりと水にくぐらせてごしごしと
念入りに
洗います。アライグマが
洗わないのは、
自分の
体ぐらいです。
前足は水の中に入れるくせに、
水浴びは大きらいなのです。だから、きれい
好きに見えて、
本当はきれい
好きではないのかもしれません。
何でも
洗うという
行動も、きれいにするためではなく、
遊びの
一種だと
言われています。
アライグマが、
一生懸命に
何かを
洗っているすがたは、たいへんかわいらしいものです。
昔、「あらいぐまラスカル」というアニメが
放映され、日本人の
頭の中に、アライグマはかわいらしい
動物であるというイメージが
定着しました。
多くの人が、ペットとして
飼ってみたいと
思ったのです。そこで、もともと
北アメリカにすんでいたアライグマが、ペット
用に
数多く輸入されました。
しかし、
野生のアライグマは、イヌやネコとはまったくちがいました。小さいころは、
人間になつくのですが、大人になるとあつかい
方が
難しくなります。
野生の
動物は、
自然の中で生きていくために、
ある程度獰猛な
性質を
持っています。アライグマは、気の
荒い、ペットに
適した
動物ではなかったのです。そこで、
困った
飼い主がアライグマをこっそり
捨ててしまうこともありました。
捨てられたアライグマは
野生化して、
畑の
農作物を
食べあらし、
被害が出ました。
しかし、
畑をあらすアライグマが
悪いのでしょうか。
野生の
動物がいちばん
幸せに
暮らせるのは、もともと
住んでいた
場所です。
遠くはなれた日本に
連れて
来られたアライグマは、
新しい環境で
必死に生きていただけなのです。∵
あつかいに
困って
捨ててしまう人がいる
一方で、アライグマの
生態を
勉強して、
責任を
持って
飼ってくれる
里親を
探す活動をしている人たちもいます。
私たちは、もっと
動物のことを
勉強して、
動物と
人間がおたがいに
幸せに
暮らせるようにしていかなければならないのでしょう。
「ところで、アライグマさん、
本当に獰猛なんですか。」
「どうもう、なあんちゃって。」
「いや、そうじゃなくて。」
言葉の森
長文作成委員会(κ)