詰め物だったシロツメクサ 読解検定長文 小2 夏 1番
シロツメクサは、日本人にとても 愛されている草花のひとつです。天気のいい休日になると、シロツメクサが生えている 場所で、シートを 広げてお 弁当を 食べる家族連れの 姿を見ることができます。シロツメクサの上は、ふんわりしていて 座り心地がよいのです。お 弁当のあとには、子どもたちは花を 編んでかわいい 冠にしたり、 茎をからませて 両側から 引っ張る草相撲をしたりして 遊ぶこともできます。
私たちになじみの 深いシロツメクサですが、 実はもともとは日本ではなく、ヨーロッパが 原産の 植物です。 江戸時代、ヨーロッパのガラス 製品は 大変な 貴重品でした。 遠くヨーロッパから 船でガラス 製品を 運んでくるとき、 船がゆれてガラスが 割れてしまわないように 箱の中につめものとして入れられたものが、このシロツメクサなのです。つめものの草だからツメクサという 名前がつきました。
シロツメクサは 生命力の 強い植物なので、つめものとして日本にやってきて 役目を 終えたあと、ゴミとして 捨てられた 場所で 再び息を 吹き返し、 次第に日本中に 広がっていきました。 今では 北海道から 沖縄まで、日本 全国で見られるようになっています。シロツメクサのように 外国が 原産で、 何らかの理由で日本に 定着した 植物のことを 帰化植物と 言います。セイヨウタンポポやヒメジョオンなども 帰化植物として 有名です。
ところで、このシロツメクサの 英語名はクローバーですが、クローバーといえば、四つ 葉のクローバーが 幸運のシンボルであることはよく 知られています。しかし、四つ 葉を見つけようと 思っても、クローバかり 多くてなかなか見つからないことがほとんどです。ところが、 世の中には、五つ 葉や六つ 葉のクローバーもあるのです。 今までに見つかった 最高記録はなんと十八 枚葉。これは日本で 発見され、ギネスブックにも 載りました。十八 枚葉のクローバーなんて見つけたら、びっくりして白目をむいて 倒れてしまいそうです。これぞまさにシロ(ツ)メクサ! 言葉の森 長文作成委員会(Ν)
塩の働き 読解検定長文 小2 夏 2番
「 青菜に 塩」ということわざは、ほうれん草などの青い 葉に 塩をかけると 急にしおれてしまうことから、人が 急に 元気がなくなってしょんぼりする 様子をたとえることわざになりました。
フライパンで 青菜を 炒めているところを見ると、こぼれんばかりに 山盛りになった 青菜がさっと小さくなってしまいます。
さて、この「 青菜に 塩」の 魔法はどうして 起こるのでしょうか。 野菜は、 人間と 同じようにたくさんの 細胞が 集まってできています。ひとつひとつの 細胞を 包んでいる 細胞膜は、水も 塩も 通すようになっています。生きている 細胞膜であれば、 細胞の中に入った 塩をうまく 細胞の 外に 排出する 機能を 持っています。しかし、 死んだ 細胞の 場合、 塩は 細胞内に しみ込んだままになります。その 一方で、 細胞からは水が出ていくので、 青菜のカサがへってしまうのです。この 脱水作用をうまく 利用したものが 漬物で、 漬物にされた 野菜は、もとの大きさよりはるかにしおれて 縮んでいます。
私たち 人間が 健康に生きていくためにも、 塩分のバランスは 大切です。 体の 細胞とそれをつつむ 液体の 塩分濃度は、 腎臓の 働きで 常に一定に 保たれています。 細胞の 内と 外の 圧力が 均衡しているために、 細胞は 同じ形を 保つことができます。 塩辛いものを 食べたあと、のどが 渇いてくるのもそのためです。また、 夏の 暑い日に、 熱射病にならないために 水分と 塩分をとるように 注意するのも 同じ理由からです。
「 漬物さんには、 塩が 必要なんですね。」
「シオうだよ。」
「ちょっと 苦しいですね。」
「エーン。」
ブーン。
( 飛んでいっちゃった。)
言葉の森 長文作成委員会(μ)
カエルの秘密 読解検定長文 小2 夏 3番
カエルは 両生類ですから、 陸上の 生活にも水中の 生活にも、どちらにも 都合のよい 体のつくりをしています。
まず、 体全体を見てみましょう。先のとがった 頭、 首がなく 頭がそのまま 体につながった 形は、水を 切って 泳ぐのに 大変便利です。
うしろ足は、 指と 指のあいだに 薄い膜がある水かきになっていて、水をいきおいよく 蹴ることができます。しかし、水かきが小さく、 泳ぐのがへたなカエルもいます。それは、ヒキガエルで、 卵をうむときのほかには、ほとんど水に入りません。また、アマガエルやモリアオガエルは、 指先に 何にでも 吸いつく 吸盤がついていて、木の 枝や 葉に 登って 暮らします。
カエルのうしろ足の 腿は、 丈夫な 筋肉がはりめぐらされていて、水や 地面を 強く蹴ることができます。アメリカのカリフォルニアでは、 毎年世界中からカエルを 集めて、カエルとび 大会がひらかれます。ウシガエルは 三段跳びのチャンピオンで、これまでに五メートルという 記録がのこっています。これは 体の 長さの 約二十五 倍です。 人間は、オリンピックの 選手でもせいぜい 身長の 約十 倍ですから、 大変な 跳躍力です。
カエルは 夜行性の 動物です。 昼は 穴の中や 茂みに 隠れていて、 夜になると 活発に 動きまわります。その 暮らしに 合うように、 昼は 瞳を 絞りこんで 光をおさえ、 夜は、 少しの 光でも 物が見えるように 瞳を 全部開きます。
目の 構造も 変わっています。 人間とは 反対に目の下まぶたが 動きます。 陸にいるとき、下まぶたは下がったままですが、水の中に 潜ると、さっと下まぶたが上に 動いて目を 覆ってしまいます。下まぶたが 透明ですから、ちょうど 備えつけの水中メガネのようです。∵
カエルには、このほかにも 変わった 種類がいます。
ヒックリカエル、デングリガエル、イキカエル、ツッカエル、ソリカエル、キガエル、ハキカエル、トッカエル。それでは、そろそろ、モウカエル。
言葉の森 長文作成委員会(Κ)
のんびり泳ぐマンボウ 読解検定長文 小2 夏 4番
マンボウの大きさは、だいたい 畳一 枚ほどもあり、 体の 後ろ半分が 切り取られたような 形をしているため、まるで 頭だけが 泳いでいるように見えます。
人気のあるマンボウですが、 実は水族館での 飼育はたいへん 難しいのです。その 理由は、えさをうまく 食べられないことや、 泳ぎが下手で 水槽の 壁に 体をぶつけて 弱ってしまうことが 多いためです。
魚の 仲間は 驚くほど 卵をたくさん 産みます。その中でもナンバーワンはマンボウで、メスが一 度に 産む卵の 数は、三 億個近くにもなります。
マンボウの お母さんは、 卵を 産みっぱなしで、 保護するということをしません。 卵や 孵化したマンボウの子どもは、 海中に 漂っている 間に、どんどんほかの 生き物に 食べられてしまいます。 最初のごく小さいうちは、イワシやサンマ、アジなどのえじきになり、 少し大きくなったマンボウの子どもは、マグロやカツオ、 海鳥、ウミガメなどに 襲われてしまいます。
けれども、マンボウの子どもたちも、ただ 何の 抵抗もせずに 食べられているわけはありません。子どものマンボウの 体には 長いとげがたくさんあります。まるで お菓子のコンペイトウのようで、大人のマンボウとは 似ても 似つかない 形です。大きな 魚に対しては、この 程度のとげはなんの 役にも立ちませんが、 小型の 魚に 食べられる 確率は小さくなります。このとげは、 成長するにつれて 短くなり、マンボウ 独特の 形に 変わっていきます。
マンボウの 兄弟たちは、大人になるまでにどんどん 数が 減っていきます。 生き残ることができるのは、三 億個もあった 卵のうち、たったの三十 個ほどです。
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「マンボウさん、のんびりしていますね。」
「ヒマンボウ。」
「えさは、 吸い込むだけですか。」
「カマンボウ。」
「いつも 海に 浮いているだけですね。」
「シズマンボウ。」
「もっと 別のセリフ、ないですか。」
「スマンボウ。」
言葉の森 長文作成委員会(κ)
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