クロソラスズメダイは 読解検定長文 小2 秋 1番
クロソラスズメダイは、イトグサという 藻をえさにしています。スズメダイは さんご礁にすみますが、 沖縄の 琉球列島のクロソラスズメダイは、この さんご礁の中にたくさんのイトグサを 育てています。 自分で 自分のえさを 育てているので、「 自給自足」というわけです。
では、クロソラスズメダイはどんなふうにイトグサを 育てるのでしょう。 さんご礁の中にはイトグサ 以外にもたくさんの 種類の 藻が 生息しています。クロソラスズメダイは、 自分が 食べるイトグサ 以外の 藻類が 成長し 始めると、口でそれを 抜き取ります。イトグサは、こうしたクロソラスズメダイの 保護なしには、 生存競争にやぶれて、その 場所は、 他の 藻類に 覆われてしまうのです。
クロソラスズメダイは、 自分の 育てているイトグサを 食べてしまうニザダイや、 時にはウツボのような 肉食性の 生き物をも 追いはらい、 自分の 藻を 大切に 守ります。ですから、ライバルがいなくなったイトグサはぐんぐん大きくなれるわけです。イトグサは、「クロソラスズメダイさん、ありがとう。ウツボの 思うつぼにならなくてよかったよ。おれいにぼくを 食べてね」といっているようです。
クロソラスズメダイは一 匹一 匹がなわばりを 持つ魚ですが、 自分のなわばりの中にあるえさの 藻だけを 管理して、まるで 芝生のようにしげらせています。
似た 例で、 アメリカ大陸に、キノコを 育てるハキリアリがいます。 自分の 巣の中に 葉っぱを 運び込み、それを 噛み砕いた中でキノコを 育てるのです。ハキリアリは、はりきってキノコを 育てるので、キノコはアリの 巣の中で、ありがたいことだと 思っていることでしょう。
言葉の森 長文作成委員会(φ)
ものの色は 読解検定長文 小2 秋 2番
ものの 色は 当たった 光の中で、どの 色を 反射するかによって 決まります。「赤」のものに 光が 当たると、「赤」 以外の 色はものの 表面に 吸収されてしまいます。そして「赤」だけが 反射して、その 光が見えるので赤く見えるというわけです。それ 以外の 光は、プリズムを 通すと見ることができます。 美しい七色の 虹のように、 実際は 光にはいろいろな 色が入っています。
この 人間に見える 色というのは、 可視光線とよばれ、 波長の 長さで 決まっています。 光の中で 可視光線より 波長の 長いものを 赤外線、 短いものを 紫外線と 呼んで、これらは目で見ることはできません。しかし、 昆虫の中には 紫外線を見えるものも 多く、モンシロチョウも 紫外線で 相手を見て、オスかメスか 判断しているそうです。
ベンハムの 独楽という 実験があります。これは、ほんとうはない 色が見えるというもので、目の 錯覚のひとつです。円の下 半分を 黒くぬり、上 半分は 黒でしまのようなもようを 描きます。これにしん を通して独楽を 作ります。 回してみるとあらふしぎ。白と 黒しかないはずなのに、 回し方の 速さや 向きによって「青」「 緑」「赤」などの 色が見えるのです。これは、 人間の目がもついくつかのセンサーの「 感じ取る時間」に 差があるため、 黒から白に 切り替わるときに、 別の 色に見えてしまうというのが 主な 原因と 言われています。この 独楽で見える 色のことは「ベンハムカラー」と 言います。
ベンハムとは人の 名前で、イギリスのおもちゃ 製造業者でした。十九 世紀の 終わり頃、 実際にこのような 独楽を 作って 発売したそうです。
目の 錯覚の 例には 次のようなものもあります。たくさんの 斜線のために、ほんとうはまっすぐなはずの白い 部分が、ゆがんだり 斜めに見えたりします。∵
このことは、 人間が目で 物を見ているのではなく、目 を通して脳で 物を見ていることを 示しています。
言葉の森 長文作成委員会(φ)
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犬は人気のあるペットとして 読解検定長文 小2 秋 3番
犬は人気のあるペットとして 常に上位にあげられます。 人間が犬を 飼いはじめたのは、一 万年 以上も 前であるといわれています。犬の 祖先はオオカミやジャッカルで、 人間に 飼われるようになる 前は、 群れをなして 仲間と 共に 生活していました。 群れの中にはリーダーがいて、 他の犬たちはそのリーダーに 従うのです。そしてリーダーを 中心として、 助け合いながら 生活をしていきます。ペットとして 人間と 一緒に 暮らすようになった 今でも、その 性質は 残っていて、ともに 暮らしている 飼主をリーダーととらえ、 飼主の 家族を 仲間だととらえます。 知らない人がやってきたときに 激しく吠えるのは、リーダーである 飼主をはじめ、 仲間だと 思っている 家族に 危険を 知らせるためのサインなのです。それはまるで、
「ぼくたちのなわばりに 敵がやってきたよ。」
とうったえているようです。
猫もまた、人気のあるペットですが、犬が 群れで 生活していたの に対し、 猫は 単独で 暮らしていました。ですから、 飼われている 家族とも 少し距離を 置き、 自由気ままに 暮らしているのです。 猫が 好きな人にとっては、そのような 猫の 性質がたまらない 魅力になっているようです。
ところで、この犬と 猫は、 約六千 万年 前、森にすむミアキスという 共通の 祖先から 分かれました。そのころの 地球は 環境の 変動が 激しかったので、ミアキスはどこで 暮らすか大きな 選択を 迫られました。 草原に出ていったミアキスは犬となり、森に 残ったミアキスは 猫となりました。
今、犬は「ワンワン」、 猫は「ニャーニャー」と 鳴きますから、ミアキスは「ニャワンニャワン」とでも 鳴いていたのでしょうか。ミアキスに 聞いてみたら、「そんにゃわけないよ」と 言うかもしれません。
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ユーモラスな表情が 読解検定長文 小2 秋 4番
ユーモラスな 表情がかわいらしいドジョウは、どろの中がだいすきで、 池や田んぼなどのどろの中をすみかにしています。 稲作をもとに生きてきた日本人にはたいへんなじみのある 魚で、どんぐりころころなどの 身近な 童謡にも 歌われています。
ドジョウの 顔をおもしろく見せているのは、 口元にはえた十本のひげです。このひげは、においをかいだり 食べ物をさがしたりするためにあるもので、生きるためには 欠かせない 器官なのです。
おもしろいのは 表情だけではありません。ドジョウは 人間と 同じようにおならをするのです。
魚はえらを 使って 体に 酸素を 取り込みますが、ドジョウはえらばかりでなく、 腸からも 酸素を 取り入れています。ドジョウが、まるで水の 外の 様子をうかがうように、ひょっこりと 水面に 顔をのぞかせることがありますが、それは空気を 吸うためなのです。そして、 腸の中にのこった空気は、おならとして 排出します。ですから、 魚なのにおならがでるというわけです。
では、なぜドジョウが 腸で 呼吸するのでしょうか。ドジョウは、水の 底にある 泥を 飲み込んでその中にあるエサを 食べ、 残りの 泥のかすをえらから出して 暮らしています。そのために、ほかの 魚がするようなエラ 呼吸が 十分にできないので、 腸を 使って 呼吸をすると 調子がよいのです。
「 本当ですか。ドジョウさん。」
「ちょうです。」
言葉の森 長文作成委員会(ω)
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