左
胸の下の方に手を当ててみると、
心臓がドキドキと
規則正しく動いているのがわかります。
心臓は、
全身に
血液を
送り出すポンプの
役割をしています。
心臓は、
動物が生きているかぎり、休みなく
動き続けます。
動物が生きていられるのは、
心臓が休むことなく体のすみずみまで
血液を
送り続けているからなのです。
血液は体中に
酸素や
栄養分を
運びます。
酸素は、
息を
吸うことによって
肺から
血液の中に
取り入れられます。
栄養分は、
食べ物を
摂取することによって
腸から
血液の中に
取り入れられます。
心臓は、昼も夜も休むことなく
働き続けています。もし、
心臓が
休憩したら、
酸素や
栄養分が体に回らなくなってしまいます。いくら
私たちが「
栄養はもうええよう。」と言っても、
心臓はその
動きを止めません。
激しい運動をしたり、
緊張したりすると、
心臓の
鼓動が
速くなります。これは、体や頭が
酸素や
栄養分をたくさん
必要とするため、
血液の
流れを
速くしようと
心臓の
動きが
活発になるからです。
血液の
仕事は、
酸素や
栄養分を
送り届けることだけではありません。
不要になったものを
回収する
働きもしています。
二酸化炭素や
老廃物を
回収してくれるのです。
酸素や
栄養分が通る
血管は
動脈、
二酸化炭素や
老廃物が通る
血管は
静脈といいます。
心臓は、にぎりこぶしくらいの大きさで、こぶしをにぎったり、ゆるめたりするような
動きをくりかえしながら、体中に
血液を
循環させています。
心臓は、手や足の
筋肉とは
違う、
非常に
丈夫な
特別の
筋肉でできています。また、
脳からの
命令で
動いているのではないことも一つの
特徴です。ふつう、体の
筋肉は、
脳の
命令で
動いていますが、
心臓の場合は
脳の
命令とは
関係なく、ひとりでにちぢんだり、ふくらんだりしているのです。∵
さて、
心臓のドキドキという音ですが、この音は
心臓の中についている
弁が
閉じるときの音です。ストーブに
石油を入れるポンプを
思い浮かべてみましょう。ポンプで
石油を
吸い込むとき、まず下のふたが
開いて
石油を
吸い込みます。その
石油を
吸い込み終わると、ふたはすぐに
閉じてしまいます。
次に、
石油を
送り出すときには、
別のふたが
開いて
石油が
別の方に
流れていきます。ポンプは、二つのふた、つまり
弁を
開いたり
閉じたりしながら、
石油を
送り出しているのです。
心臓もこの
石油ポンプと同じしくみになっています。
心臓の中にもふたがあり、このふたが
開いたりしまったりしながら、
血液を
送り出しています。
心臓の
弁は、
流れた
血液が
逆周りになって
戻ってこないように、音がするほど強くしめます。この音がドキドキという音になって聞こえるわけです。
哺乳類や
鳥類の
心臓は、田んぼの田の字の形のように四つの
部屋に分かれています。
爬虫類や
両生類の
心臓は三つの
部屋に、
魚類の
心臓は二つの
部屋に分かれています。
石油ポンプにはもちろん一つの
部屋しかありません。
部屋が分かれていると、それぞれの
部屋で
役割を
分担できるので、
心臓の
性能がよくなります。
人間の
心臓は、田の字の
向かって左上から体中の
汚れた
血を
回収し、それを左下に
集めて
肺に
送り込みます。
肺できれいになった
血液は田の字の右上で
集められ、右下から
勢いよく
再び全身に
流れていきます。
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長文作成委員会(Λ)
食虫植物とは、
葉などで虫や
小動物をつかまえて
消化し、
栄養分として
吸収する
植物のことです。
食虫植物と言っても、しょっちゅう虫をつかまえているわけではありません。
食虫植物も
普通の
植物と同じように、日光から
栄養分を自分で作っているので、虫を食べなくても
枯れることはないからです。ただ、
育ちが少し
悪くなることはあります。
食虫植物は、
世界には、五百
種あまり、日本にも、二十
種あまりが自生しています。数ある
食虫植物の中から、ハエトリグサ、ウツボカズラ、モウセンゴケの三
種類を
紹介しましょう。
ハエトリグサの
葉には、
片側に三つずつ、合計六本の小さな毛が生えています。虫がこの毛に二回さわると、すぐに
葉が
閉じて虫をつかまえます。虫があたふたしているうちにふたが
閉まってしまうわけです。なぜ二回さわるまで
葉を
閉じないかというと、一回だけでは虫が
葉っぱのまん中に入っていないかもしれないからです。二回ならほとんど
間違いなく虫が
真ん中に入っているだろうというわけです。ハエトリグサは
用心深い性格なのかもしれません。
葉を
閉じてからもしばらくは、
葉の中に虫が
動ける隙間があります。しかし、虫をつかまえてから一日
経つと、
葉をぴたりと
閉じて虫を
押しつぶしてしまいます。そして、
消化液を出して虫をどんどんとかしてしまいます。虫を
完全にとかすまでには十日ぐらいかかります。その後、また
葉を
開いて、
次の
餌食となる虫を
待つのです。
ウツボカズラのふくろにはふたがあります。このふたの
裏やふくろの口のまわりから
甘いミツを出して虫をおびきよせます。ふくろの
表面はロウのようになっていてとてもすべりやすいので、虫たちがいくらもがいても
徒労に
終わってしまいます。ミツを目当てにやってきた虫たちは、
結局は足をすべらせてふくろの中に
落ちて∵しまいます。ふくろの下にはいつも
消化液がたまっています。ウツボカズラは、ふくろの
内側にあるぶつぶつから虫の
栄養分を
吸い取っています。一方
的に
栄養分を
取るだけですから、
物々交換とはいかないようです。ふくろについているふたですが、このふたは雨を
防ぐためのもので、虫をつかまえた後も
閉まりません。
モウセンゴケの
仲間は、
北極、
南極、
砂漠をのぞく、ほぼ
世界中に
分布しています。日本でも北から南までどこでもよく見ることができます。モウセンゴケの
葉には
腺毛が生えていて、その先からねばねばした
液を出して虫を
捕えます。赤い
腺毛の先にねばねばがきらきらと光り、まるでダイヤモンドダストのようです。
葉の上に虫がとまると、毛が
素早く動きだします。毛だけでなく
葉も虫をつつみこむように
動き、虫をとかす
消化液を出します。十時間もすると、
葉は虫をくるくる
巻きにして、ゼンマイのような
姿になります。そして、
消化液でとかされた虫の
栄養分を
吸い取り、その後、まるで
何事もなかったようにまた
葉を
開いて
次の虫を
待ちます。「モウセンゴケ」とは名ばかりで、「もう、せん。」と言いながらも
次々に虫をつかまえてしまうようです。
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