文学が「子ども観」を生み出した時代の背景と、マスメディアの影響で社会 |
全体が大きく左右されている今日の日本の現状とは類似するところがあると思 |
う。私達の日々の生活はメディアを介した無数の情報で溢れ帰っている。そし |
てその情報は、まるで人の心をマインドコントロールするかのように、如実に |
世論に現れる。それが世間一般の学校教育や教師への信頼の欠如だったり、政 |
治への無関心、景気の不安、宗教団体への不信、さらには最近不祥事続きの警 |
察も信頼を落とし始めている。その他にも、流行のファッションやはやりの食 |
べ物など、生活の隅々にまでその勢力は及んでいる。 |
確かにニュースや新聞は事実を述べているかもしれない、しかし私達はその |
情報の全てを丸飲みにして全ケースに当てはめようとすることは出来ない。ま |
ずはそれが正しいかそうでないか、自分はどう思うのか、それが解らなければ |
、私達はこれからの社会で生きていく上で情報の渦に巻き込まれて自分を見失 |
ってしまうだろう。 |
しかしなぜ社会の大部分がこんなにもメディアの影響を受けやすいのだろう |
か。第一に考えられることは、テレビや新聞、雑誌やインターネットなどの現 |
代を代表するマスメディアが世間一般の間で普及し、良く利用されているから |
だろう。特にテレビはその気軽さから、老若男女を問わず多くの人の情報源と |
して、又は娯楽として、日々の生活に欠かせないものとなっている。やはりそ |
れだけたくさんの人が全国で同じようなメディアと関わっていると言うことは |
、それだけ多くの人が均一にある同じ情報に触れるチャンスが有るのではない |
か。もう一つ、現代のメディアはある時代のそれと比べれば遙かにスピーディ |
ーだ。緊急事態などは発生から一時間もしない内にテレビ等で報道されたり、 |
号外の新聞が出されたりする。だから明日はまた別の情報が入ってくるだろう |
し、昨日の情報は全く時代遅れの話題になっていたりする。そうなると、私達 |
はもっと新しい情報を探し求めるようになり、常にメディアに気を配り、その |
需要を高めている。 |
そうなればそのメディアの影響力は全国域に渡って膨大なものとなることは |
言うまでもない。そして大きくなりすぎたその力は、人それぞれが本来持って |
いた意見や精神などの話題の信憑性を自身で問うための基準となるものを一斉 |
に押しつぶして均一化してしまったのではないか。 |
だがこのままメディアによって人々の多様な意見が押しつぶされたままでそ |
のことに気づかずにいると、私達はまるでロボットと化してしまう。自分の意 |
志は全く無く、見たり聞いたりしたものだけがそのまま脳に刻み込まれて行く |
、考えることをしない動物へと退化してしまうだろう。そのような巨大な力が |
勝手に一人歩きし出してしまうようになると収拾がつかず、民主主義も何も無 |
くなってしまうのではないか。確かにこれからもメディアは人間の生活には必 |
要不可欠なもので、一つの重要な産業であり続けることに間違えは無いだろう |
。しかしこのまま便利で且つ役に立ち、価値の有るものであり続けるためには |
、これからも一層メディア同士で競い合い、より民主的な社会造りに貢献でき |
るものへと磨き続けなければならない思う。例えばテレビの公共の放送局数を |
増やしてそれぞれの局にもっと特徴を持たせて受信者への情報の選択肢を増や |
したり、インターネットを更に普及させて個人単位で情報を発信できるように |
したり、新聞などの紙面に読者の意見や感想などを自由に掲載できるようにし |
たり、ラジオ等でリスナー参加型の討論を電話越しにできるようにする等、色 |
々考えられる。これからは何よりも多くの人々の様々な意見を尊重できそれを |
自由に気兼ねなく発表できるような場を増やして行くべきだと思う。なぜなら |
その多様な意見こそが民主主義の中で最も尊重されるべきで、その糧となるも |
のだからだ。 |
だがその反面、マスメディアの浸透とそれに比例する人々の間での影響力の |
おかげで、世論はだいたいのところで統一されているので、例えば何かある一 |
つの目標に対して行動を起こしやすい等という利点も有る。しかしどんな行動 |
を起こすにしても、まずはそれが正しいか正しくないか、賛成なのか反対なの |
かというような判断が自分自身で下せるようでなければ、それは暴動にも犯罪 |
にまでもエスカレートしかねない。「みんなで渡れば怖くない。」でもみんな |
で犯罪行為をすればそのみんなが罪を犯したことに変わりは無いのだ。その判 |
断を間違わぬためにも、自分で考えてその意志に従い、他を正しく批評できる |
目を養うべきではないか。いつでも自分に自信を持ち正直で有るべきだと思う |
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