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定着文化と移動文化
イチゴ の広場
あやの あしわ
 日本のいわゆる「定着文化」にどっぷり浸かっていると、その正反対とも言え
るような「移動文化」のことなどあったことさえ忘れてしまう。例えば転職に
関して定着文化の日本では、三回以上職を変えるとその次はなかなか就職しに
くいのでなるべく避けるというような暗黙の了解が有るが、移動文化の国々の
転職事情を観てみると、彼らは職を変えることによって更にハイレベルな仕事
に就くことで評価を得る、いわばキャリア志向であるといわれている。この違
いは、もし移動文化圏から日本に職を求めてやってきた人々がいたとき、彼ら
に不利に作用するであろう。
 
 世界の中の経済大国であるにもかかわらず日本は先に述べた転職事情を見て
も分かる通り、移動文化的価値観への理解が薄いのではないか。このままでは
将来の日本の世界的地位も不安になる。
 
 日本が今までこの定着文化の性質を高く保持出来た理由は二つある。
 
 一つは祖先が農耕に従事して生活してきたことだ。農業に依存して生活する
ということは、或る一定の場所に定住するということである。
 
 二つ目は日本という国が一つの島国だという地理的条件である。島国である
ということは外からの刺激を受けにくく、それだけ或る一つのことが徹底的に
浸透しやすいのだ。そして外の事情を知る必要もなくなる。
 
 しかしグローバル化する現代社会において、既に或る一つの文化的価値観の
みで物事を判断することは難しくなっている。これからは異なった文化に置い
ての価値観も理解する姿勢が必要だ。
 
 他の文化圏に自分の身を置いてみるのでも、外の文化圏からの人々を招き、
交流を図るのでも良い。先ずは異文化というものに接する機会を持つことが、
理解への第一歩となるだろう。
 
 私は何も「定着文化」を否定している分けでは無い。
 
 日本のような「定着文化」にも利点はある。技術や教育等の習得するのに長
い時間を要するものは、同じことを同じように根気強く続けることが大切だ。
そのような性質を持ったものは定着文化の方がその質を高めやすいだろう。
 
 文化の差異というものは「良い」「悪い」で判断することは出来ない。
 
 郷に入っては郷に従え。その場所の文化の性質に合った臨機応変な態度も望
まれる所だが、重要なことは、互いがそれぞれの文化の性質を理解し、それぞ
れの良さを見出して、それを尊重し合って行くことだと思う。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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