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JAP the Ripper.
アジサイ の広場
眠雨 うき 高1
 文明開花以来、日本は欧米に追いつこうと必死に吸収・模倣を重ねてきた。
それは鎖国によって遅滞していた日本の時間を取り戻す機会であったのだから
、まさしく適切な対応と言えよう。しかし現代、最早世界でトップクラスの経
済力を持ちながらなお、欧米への強い憧れが抜けきっていないのは問題である
。これからは薄っぺらに欧米を模倣するのではなく、日本の文化を自覚し、そ
の持ち味を活かしていくことが大切である。
 
 そのための第一の方法は、まず日本の文化を見つめなおすことである。近年
の、特に若い人の間での日本文化衰退は著しいと言われている。それは恐らく
、どことなく日本が「古くてかっこわるい」ものに感じられているからであろ
う。我々の着ているのは洋服である。流行歌や漫画に飛び散るのは英語である
。未だ我々にとって欧米は「かっこいいもの」であり、日本は「古くさいもの
」なのだ。私が学校で中原中也の詩集を読んでいた時のことである。クラスの
人間が、後ろから覗き込んで笑った。「ゆあーんゆよんって何言ってんだよ」
と。彼の口調に悪意はなかった。単に、その言葉がそういう「ジョーク」だと
思ったのだろう。しかし数日後、私が今度はディキンソンの詩集を読んでいる
と、同じ友人が言った。「英語で読めるなんてかっこいい」。もちろんディキ
ンソンと中原中也の文章力に甲乙をつけるつもりはないが、詩文のもつ響き、
言葉のもつ力という点から見れば、日本語のほうが英語より遥かに慣れ親しん
でいるはずである。英語は無条件で恰好良く、日本語はなんとなく気恥ずかし
いと感じる。日本を奇妙に恥ずかしがるその精神が、欧米かぶれを促進してい
る。それは文明開花時代の名残とも言えようが、しかし現在負い目を感じる必
要はどこにもない。我々はもっと日本文化をしっかりと見つめていい。
 
 色眼鏡を外せたならば、第二の方法として、日本文化を欧米から脱皮させよ
うとすることがあげられる。吸収することをその発展の根底においてきた日本
は、物真似国家と批判を受けがちであるが、吸収したものを日本の土壌に合わ
せ変化させることによって、新たな日本文化の形を作っていけるのではないだ
ろうか。有名な例としてはB'zがあげられる。彼らの音楽は欧米のロックに憧れ
ていた時代のものでありながら、欧米のロックとはまた違うジャパニーズ・ロ
ック…B'zサウンドの形を作り上げているのだ。
 
 置いてきぼりの日本文化は、新しい世代の波に流されようとしている。しか
しそんな今だからこそ、我々は日本文化を見直していくべきである。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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