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小林多喜二の話から学ぶこと2 |
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小林多喜二の話から学ぶこと 矢崎 温子 |
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昭和の戦前、思想・社会運動を取り締まる社会状況の中で、小説家だった小林多喜二は、特高警察に検挙され拷問を受けていた。彼が刑務所に入れられて |
いた時、面会を許された彼の母は多喜ニに会うために、遠く寒い道のりを遥々汽車に乗ってやって来た。会った途端頭を下げて謝る彼に、母は「おまえのこと |
を信じている」と繰り返し言った。多喜ニはその後ひどい拷問によって絶命するが、最後に彼は母が自分を信じていると言ったから、どんな仕打ちを受けても |
自分は天国へ行くのだと言ったそうである。彼が暴力や拷問に精神的に屈しなかったのは、母の彼を信じる気持ちと母の愛情があったからだろう。 |
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私達人間一人一人にとって、母親の存在とその人から受ける愛情は、目に見えない言動から感じとれるとても大切なものである。それがあると人は心の底 |
に安心感を得られるといわれている。母から受けるその愛情とは、母の子供として生まれたそのままでいいという想いから、子供をそのまま愛し、受け入れ |
ていると言うことだろう。そういう意味で、ひとは愛情を受けると、心に安心感や多喜ニのような精神的な安定感が得られるのだと思う。母親によって安心 |
感を得ると、自分の価値、何ができるかできないかではなく自分が生きていることそのものに意味があるのだと感じ、劣等感を抱いたり、その想いから人と |
自分とを比べたりしなくてよくなるのである。したがって自分の長所だけでなく、人のそれにも目を向けていくことが出来る。母親の愛情が子供の精神的な |
成長や人生に大きな影響をもたらすと言えるだろう。 |
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確かに母親の愛情は人にとって重要なものだが、同様に父親の存在も大きなもので、厳しさや自分を律する力(自律、自立)を見に付けることを示す父性 |
を持っているように思う。しかし、事情があって父親、母親がいなかったり会えなかったり、あるいは一緒にいても愛情が感じられなかったりすることがあ |
る。そのとき、人は精神的に不安定になったり自分を見失いそうになったりする。それはおかしいことではない。大切なのは、そのときどうするかというこ |
とである。そういった現実を乗り越えて、最終的に自分が自身を受け入れることが出来るためには、やはり愛情と厳しさが必要である。人は一人で生きてい |
くことは出来ない。その答えを本に求めたり、年上の人達に聞いたりすることによって、その人々との交わり関わり合いの中から、心と体と頭で学びとって |
、自分の力で実践していこうとすることが大切だと私は思う。人や本には、各々の哲学や真実がある。それを自分で吸収していくことが重要ではないだろう |
か。どんなに長い時間が掛かっても、それによって愛情と厳しさの両者は自分の中で築いていくことが出来ると思う。人にはその力があると私は信じている |
。なぜなら私も今、それを続けていこうと思っているからだ。 |
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