| 無駄な競争 |
| アジサイ | の | 泉 | の広場 |
| ミッキー | / | けく | 小5 |
| 私の目の前には、お人形が二つおかれていた。日本の人形だ。 |
| 「そろそろ作るよ。」 |
| そんな声が聞こえたような気がする。私は、ひな人形にほほ笑みかけて台所 |
| へ向かった。 |
| もう、いとこは作りはじめていた。お米のようなもののなかにあんこをいれ |
| 、それを丸くにぎっていた。それをみた私は、「私もいっぱい作るぞ~。」と |
| 思ったのか、早速作りはじめた。いくつつくったのだろう?たくさん作った。 |
| そのことが原因で、あることが起きるなんかも知らずに…。 |
| 「いっただきま~す!」 |
| 私といとこは、さっそく、できた「桜もち」に手を伸ばした。 |
| 「今日は、ひな祭りの日なんだから、諒君よりも私の方が、いっぱい食べて |
| もいいはずだな。」 |
| そんな、欲望をもっていた私がいけなかったのだ。最後に嵐のようなことを |
| 知らない幼い私が…。 |
| 「もぐもぐもぐ、ムシャムシャムシャ。」 |
| 普段からお菓子を食べない私に、そんな勝負、いどめるわけない。 |
| 「もぐもぐもぐ、ムシャムシャムシャ。」 |
| 大きさが大きかったのか、三つ目ぐらいで、お腹がいっぱいになった。いと |
| こも、もう、終わりにしていた。「よーし、もう、いいだろう。」 |
| 平気なかおをして私はテーブルをはなれた。そしてまた、おひな様のところ |
| へいった…。 |
| 「うっ…。」 |
| 何分たったのだろう?急に気持ち悪くなった。 |
| 「桜もちのせいかな?」 |
| そう思いながらも私はトイレに向かった。 |
| 「気持ち悪いよ~。あーあ、桜もち、あんなに食べなければよかったな。」 |
| そんなこといってももうおそい。自分が、なんの意味もない競争をしてしま |
| ったのだから。自分より下の歳のいとこを相手に…。 |
| 「そこ、おはぎとかなーい?」 |
| スーパーの和菓子売り場へいくとすぐにそのようなことを聞いてしまう。な |
| ぜって、お米のようなものを使ったお菓子、桜を使ったお菓子をみるだけで、 |
| 気持ち悪くなるのだから。さくらもちが、大嫌いなものになってしまったのだ |
| から。 |
| このことに対して私は、意味のない競争は、悪い結果をまねいてしまうこと |
| がわかり、そんなこと、絶対にしたくないと思う。 |
| 今も私は、桜もちが食べられないでいる。 |