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ひとこと
その昔、サングラスを
アジサイの広場
冨田あよ高1
 「○○、ちゃんと座って先生の話を聞きなさい。」私が小学生であった時、塾では時々こんな放送
が入った。教室の隅にはカンニング防止の為のビデオカメラが設置されていたからである。現在、私
達の知らないところでいたるところにカメラが設置されている。ふらっと立ち寄るコンビニの中でも
、毎日のように使う駅でも我々はカメラによって監視されているのである。「悪いことを何もしてい
ないなら自由にさせてやるからビデオの前に堂々と顔をさらしなさい」ということなのだろう。このよ
うな「飼い犬の自由」が我々の個人的な空間を縮小させてきたのである。現在、インターネットなど
の匿名性に人々が飛びつくのは自分をさらさない場所、「管理されない自由」が減ってきている何より
の証だろう。
 しかしインターネットがなんでもありの無法地帯と化しているのを見れば分かるように「管理され
ない自由」が犯罪を助長している面があるのも事実である。みんながストッキングを頭にかぶって歩
いていれば強盗も見分けがつきにくくなる。匿名性と犯罪防止をいかに両立させていくかが大切であろ
う。
 ではどうすれば良いのであろうか。個人個人がもっと多様化した「管理されない自由」を持つこと
が大切であろう。現在、個人的空間があまりに減ってきているが為に自分をさらさない場所が画一化
し過ぎている。その為にその一種、溜まり場のような中で社会問題も起こりやすい。それぞれがもっ
と多様な個人的空間を持てれば犯罪が社会問題にまで進展することはずっと少なくなるのではなかろ
うか。
 しかし現実の社会では犯罪の防止のためとなるとすぐに規制を考える。朝日新聞の投書欄に次のよ
うな文章が載っていた。「インターネットを通して薬品を買い自殺した事件でインターネットがだい
ぶ非難されていますが私の悩みを打ち明ける場所はインターネットしかないのです。」匿名性がかかわ
る社会問題の原因は一般にいわれるように「コンピュータがハイテク機器だから」でも「近頃の若者
だから」でもないことを考えるべきだろう。「管理されない自由」に管理を持ち込むことは、いたち
ごっことなるだけで根本的な解決にはならないであろう。
 確かに管理された自由というのも大切であろう。管理されない自由ばかりがはびこった社会という
のは犯罪の絶えない無秩序の社会であろう。しかし人間には個人的な空間が必ず必要である。秩序を守
るために駐車違反はすべて取り締まり現行犯は逮捕とかいう社会は危険である。綺麗すぎる川より濁
った川のようが魚は住みやすい。ある程度は大目に見るといった「余裕」のある社会というのが大切
であろう。この管理社会の中ではもっと「管理されない自由」が必要である。塾で休み時間にビデオ
カメラを紙でふさいで黒板に皆で落書きしたことを思い出す。